
ミュージシャンの曽我部恵一さんに焦点を当てた展覧会「サニーデイ・サービス、曽我部恵一展 ラバーズ・オブ・ワーズ」が現在、町田市民文学館ことばらんど(町田市原町田4)で開かれている。
サニーデイ・サービスのフロントマンとして、またソロアーティストとして長年音楽シーンの第一線で活躍を続ける曽我部さん。その創作活動における「言葉」に光を当てた、本人にとって初となる展覧会。
作曲の前に作詞する「詞先」を特徴とする曽我部さんの創作の源泉ともいえる膨大な創作ノートや、楽曲の歌詞、本人のプライベートな品々、本展のために撮り下ろされた特別な映像作品などを展示。
担当学芸員の山端穂さんは、「当初の企画から曽我部さん自身が深く関わり、デザイナーも交えて何度も試行錯誤を重ね、一緒に作り上げた展覧会」と明かす。
館内にはあえて音楽を流さず、来場者が曽我部さんの「言葉」そのものと向き合える空間を演出した。これは、「イメージが先行するのではなく、僕が発する言葉を受け止めてほしい」という曽我部さん自身の提案によるものだという。
見どころの一つは、今回初めて公開される40冊以上に及ぶモレスキンの創作ノート。デビュー前から現在に至るまで書きためられたノートには、楽曲の原型だけでなく、リリースされなかった膨大な数の歌詞も記されており、曽我部さんの創作の過程を垣間見ることができる。
町田市内でゲリラ的に撮影した映像作品では、曽我部さんが街を歩きながら自身の詩を朗読。さらに、自宅の仕事部屋を再現した「言葉の生まれる空間」では、影響を受けた本や漫画、レコードなどが並び、創作背景に触れることができる。
曽我部さんの「やってみたい」というアイデアから生まれたユニークな参加型企画「詩をリミックスしよう!」も同展の大きな特徴。来場者は、用意された曽我部さんの歌詞の一部を使い、自由に言葉を再構築(リミックス)して新たな詩を創作。参加者にはオリジナルステッカーを進呈する。
関連イベントとして、曽我部恵一LIVE&トーク(11月2日)、映画「ドキュメント・サニーデイ・サービス」上映会(11月14日、12月7日)、北沢夏音講演会「リリックス、ライムズ&ワーズ ―曽我部恵一の紡ぐ詞の宇宙を旅する」(11月23日)、曽我部恵一×谷川由里子記念対談 「音楽」と「詞」について(12月20日)を予定する。
山端さんは「ファンの方にとっては見たことのない曽我部さんの世界が、そして曽我部さんをあまり知らない方にとっても、音楽における言葉の表現のおもしろさに気づいてもらえるはず。曽我部さんのアイデアが隅々まで反映された、チャレンジングな展示をぜひ体感してほしい」と来場を呼びかける。
開館時間は10時~17時。月曜(11月3日、24日は開館)と第2木曜(11月13日、12月11日)休館。観覧料は一般=600円、大学生・高校生=300円、中学生以下は無料。12月21日まで。