「ぼく 著者です」と書かれた黄色のボードを下げた白衣姿の男性2人が7月10日朝、町田駅に現れた。
2人は奈良先端科学技術大学院(奈良県生駒市)の博士課程に在籍する大学院生、黒岩将さんと武田康臣さん。先月出版した著書「出稼げば大富豪-貧乏博士課程の目指せ!金持ち修業日記」(KKロングセラーズ)のPRのため、全国行脚中。西日本を中心に16都府県145書店で、アポなし「ゲリラキャンペーン」を遂行してきた。
黒岩さんは昨年、ITベンチャー企業「ホープフル・モンスター」を設立。情報科学を基にした婚活支援システムなどの開発販売を手がけるも、1年目の年商は29万円。収益が伸び悩むなか、知人の紹介でバリ島でのシステム開発の案件に参加。そこで日本人の大富豪、通称「兄貴」に出会う。「うわさではすごい人と聞いていたが、実際に会ってみたら想像をはるかに超える人物」(黒岩さん)。
同書は兄貴から学んだ「マルチーズ理論」「隣人に幸あれ理論」「さわやか理論」など24の成功理論を黒岩さんがイラストとともに読みやすい日記形式にまとめたもの。全350ページで、価格は1,680円。
キャンペーンは「お前の本を売ってくれている人にお礼をしなさい」という兄貴のアドバイスがきっかけ。この日も久美堂書店本店(町田市原町田6)と小田急店(同)を突撃訪問し、メッセージ入りの色紙を手渡すなどして自著をPRした。
理系の大学院生だと分かるように、「脱貧」「貧乏博士課程」などと書かれた白衣を移動中も含め、ほぼ1日中着用する2人。「一人っきりになると、人の視線のプレッシャーに負けて白衣を脱ぎたくなる。実際、脱いでしまうことも(笑)」(武田さん)。
「私の言葉使いや行動が率直過ぎるのか、警備員に連行されたり、プレスリリースの電話を突然切られたり、たまに心が折れそうになる。マルチーズのように愛らしくなりたい。本に書いたのは一人物の格言。実行すれば必ず成功するというわけではないが、試してみてマイナスはない。読んでみて、試してみて、それでいいじゃん」と言い残し、2人は町田を後にした。