特集

【寄稿】人間と野生動物との共存を目指して-NPO法人ジャパンワイルドライフセンター・飯吉茜さん

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■JWCとは

 私たちNPO法人ジャパンワイルドライフセンター(通称JWC)は、世界の野生動物保護を目的として1990年から活動を行っています。

 創設者である故・佐草一優の意志を引き継いだスタッフたちが、東京都町田市を中心に、傷ついたり孤児として保護された動物の治療、リハビリ、リリース、世界の保護団体と連携した情報発信、アート展や講演会などのイベントを通し、野生動物の保護啓蒙活動を行っています。

■さとやまプロジェクト

 2014年5月、JWCでは付属ののづた動物病院の協力のもと、動物病院で保護され、治療・リハビリを経た野生動物たちを自然に戻す活動をメインとし、野生動物と人が共存できる環境整備を含めた「さとやまプロジェクト」が始動しました。

 これまで、保護された動物たちは、動物病院の別室にある野生動物室で、動物病院やJWCスタッフが世話をしながらリハビリを行ってきました。しかし、極力自然に近い状態で保護していきたいという想いから、町田の里山に近い「さとやま保護センター」を設置することになりました。

■野生復帰の取り組み

 さとやま保護センターでは、動物病院で治療が終了した動物たちを、スタッフが毎日世話をしています。孤児として保護された野生動物に対しては、自然界で自力で生きていけるよう、人馴れしないような世話を心がけています。野生復帰に向け、鳥類は飛行訓練、哺乳類は段階を追って、広い小屋に移していきます。こうした、動物たちを収容する小屋類はスタッフの手作りで、動物たちの体に合わせたり、リリースができるような小窓を付けるなどの工夫がなされています。

■野生動物の追跡調査が課題

 動物病院で保護され、無事に野生へ帰れた動物たちがいる一方で、翼が折れたり、脚をなくしたりし、野生復帰が難しい動物もいます。体が不自由であっても、管理された環境のもとではありますが、極力自然に近い状態での保護を目指しています。

 リリース後の動物たちがどこでどのように生きのびているかは、現段階では把握することが困難となっています。リリースした動物たちの追跡ができれば、動物たちが町田の里山生態系の中で、どのような生活を送っているかを知ることができ、JWCが目指している環境整備を進めていくことができます。

■里山環境の整備を

 昨年度、のづた動物病院で保護された野生動物は鳥類、哺乳類を含め100件を超えています。JWC事務局やさとやま保護センターの所在地、東京都町田市を含む多摩地域は、今も多くの自然が残り、都市部としては比較的人々と野生動物が共存している地域です。かつての里山環境までとはいきませんが、人間と野生動物が共存できるような里山の環境を維持し、整えていくことを皆さんと共に進めていきたいです。

ジャパンワイルドライフセンター

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