文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業43年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
心から共感してくださっている様子がひしひしと伝わってきます。
彼女はいったいどうしたというのでしょうか?
2015年12月27日に産声をあげた入居者向け食堂「トーコーキッチン」。当社、東郊住宅社が淵野辺エリアで管理する1,600室の賃貸物件にお住まいのみなさんに利便性と健康的な食生活を提供するために、朝食を100円、昼・夕食を500円で毎日提供しています。
東郊住宅社は1976年に淵野辺で創業した、いわゆる「まちの不動産屋」です。もっと言うと、支店もない、ここ淵野辺にただ1店舗あるだけの小さな「まちの不動産屋」です。それゆえ、トーコーキッチンも同じく淵野辺にある1店舗のみでの営業となっています。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2017年1月27日。不動産ポータルサイト「SUUMO」でトーコーキッチンの取材記事が公開されて2日が経過したころのことです。おそらく生まれてはじめて「淵野辺」という地名を知ったであろう彼女。その淵野辺にある不動産屋がやっているという入居者向けの食堂サービスの在り方を知り、思わず移り住みたくなったそのサービスを地元関西でも導入して欲しい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。
「ありがとうございます。関西で導入されるとボクもうれしいです!」
トーコーキッチン運営開始以降、本当にありがたいことにみなさんに面白がっていただき、週1~2組のペースで見学や視察、取材でのご来店が続いています。そして、その中で最も多くいただくご質問の一つが、「淵野辺エリア以外にも進出を考えていますか?」です。
答えは「ノー」です。
当社のような賃貸管理会社はお部屋の紹介だけでなく、安心・安全な入居生活を提供し続けることが大切な業務となります。つまり、契約してからが、本当のお付き合いの始まりです。
そして、そのお付き合いをより良いものにするためには、何かあったときにはいつでも30分以内に駆けつけられることや、その地域のことをよく知っていることや、普段からコミュニケーションが図りやすい環境を整えていることなどが重要素だと考えています。
そもそもボク自身に多店舗展開する能力がないという大大大前提もあり、当社は淵野辺エリアでの賃貸生活をもっと楽しく感じてもらえるようにもっと努力することにしたのです。
ところで、トーコーキッチンが真似されないように特許を取ったりしないのでしょうか? ノウハウを商品化して、他の不動産会社などに販売したりしないのでしょうか?
答えは再び「ノー」です。
実は、そこにトーコーキッチンが望む未来があるのです。
でも、それはまた別のお話。