特集

トーコーキッチン物語
#053「春からは、トーコーキッチンが淵野辺の覇権を取る」

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文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。

#053「春からは、トーコーキッチンが淵野辺の覇権を取る」

淵野辺で創業46年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。

ある日、こんなつぶやきを見つけました。
力強く応援してくれている様子がひしひしと伝わってきます。
彼はいったいどうしたというのでしょうか?

暮れも押し迫った2015年12月27日。その日は寒いけれども、どこまでも空気が澄んだ、晴れ晴れとした冬らしい日でした。

わたしたち、東郊住宅社が管理する1,800室の賃貸物件に入居しているみなさんに利便性と健康的な食生活を毎日提供するための特別な食堂として、トーコーキッチンは淵野辺駅北口にある商店街の一角で産声をあげました。朝8時の開店を前に、店頭に列を成して待ってくれている人たちの姿に胸が熱くなったことを、今も鮮明に憶えています。

そこで、先ほどのつぶやきです。

2016年3月5日。トーコーキッチンのオープンから2ヶ月が経過したころのことです。連日賑わいを見せているトーコーキッチンの様子から何かを感じ取ってくれたのでしょうか。自身の中で湧き出た一つの思いを今のうちに残しておきたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。

それを見つけたボクは、すぐさま彼にこう返信しました。

「心強い予言、励みになります。的中となるよう頑張ります!」

入居者向けの食事サービスを始めると周囲に告げると、前例が見当たらないためでしょう。「斬新ねぇ~!」といった驚きの声や、「本業の方は大丈夫?」といった心配の声、「1年、いや、まぁもって3年ってところだな」と存続を危ぶむ声など、たくさんいただきました。それはそうだと思います。ボクが逆の立場でもそういった声をかけるに違いありません。

しかし、そんな中においても、今なお心に留めて励みにさせていただいている大切な言葉も本当に数多くいただきました。

「素敵!」「その手がありましたか」「出資させてよ」「応援してます」「ウチの畑で採れた野菜を使ったらいいよ」「俺、毎日行っちゃうかも」「毎週土曜の朝行くよ、必ず」「すごいアイデア」「間違いなく業界を塗り替えるビジネスモデルですね」「トーコーキッチンの存在自体が文学や映画であるような話に思えます」

2022年12月27日。トーコーキッチンはおかげさまで7周年を迎えさせていただきます。
これからも、トーコーキッチンが入居者のみなさんの日常にある特別な食堂として在り続けられるよう、スタッフ一同、頑張ってまいりますので、みなさんどうぞご贔屓に!

ところで、朝食が100円、昼・夜の日替わり定食が500円というトーコーキッチンの料金設定はどのように決めたのでしょうか? やはり、インパクト重視でしょうか?

答えは「ノー」です。

実は、そこにトーコーキッチンでわたしたちが金額よりも大切にした思いがあるのです。
でも、それはまた別のお話。

【プロフィール】
池田峰(いけだ・みね)
有限会社東郊住宅社の二代目。管理物件1,600室の賃貸住宅入居者に向けた食堂「トーコーキッチン」を企画し、2015年12月より運営。毎日、朝食100円&昼・夕食500円で絶賛提供中。2016年度グッドデザイン・ベスト100およびグッドデザイン特別賞[地域づくり]受賞。幼い頃のぬり絵は間取り図。 東郊住宅社HP
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