町田ゆかりの直木賞作家・常盤新平さんの業績を振り返る展覧会が1月17日より、町田市民文学館ことばらんど(町田市原町田4、TEL 042-739-3420)で開かれている。
常盤さん(1931~2013)は、翻訳家や編集者としても活躍。早川書房でミステリー小説誌「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン日本版」の編集長を務めたほか、海外の文学作品やスパイ小説、冒険小説などを紹介するシリーズ「ハカヤワ・ノヴェルズ」を創刊。
55歳の時に初めて執筆した自伝的小説「遠いアメリカ」では、人々がハンバーガーをまだ知らなかった昭和30年代の空気と青春期の不安や迷いを描き出し、第96回直木賞を受賞。晩年の20年間を町田で過ごした。
「小説を書くことで、父親の深い愛情、自分が翻訳家を志した本当の理由に気付くことになる。作家となってからは、都会の片隅で暮らす人々の心の移ろいや日常の些事(さじ)をすくい上げるエッセーや小説が多くなるが、アメリカへの思いは終生変わることはなかった」(同館学芸員)。
同展では、「翻訳家にして直木賞作家、アメリカ通にして時代小説をこよなく愛するエッセイスト、あるいはアメリカの翻訳エンターテインメントを次々と日本に送り出した名編集者」など、さまざまな顔をもつ常盤さんの原点であるアメリカへの思いと、その生き方、作品の魅力を紹介する。
関連企画として、ドリアン助川さんのトーク・朗読ライブ、飯原道代さんの朗読会、青山南さんと川本三郎さんの対談「ぼくらがアメリカに夢中だったころ-『ハッピーエンド通信』編集時代」、雑誌「東京人」で常盤さんの担当編集者だった坪内祐三さんの講演会などを予定する。
開館時間は10時~17時。入場無料。月曜・2月12日・3月12日休館。3月22日まで。