映画「転校生」やテレビドラマ「あばれはっちゃく」の原作を執筆した山中恒さんの業績をたどる初めての展覧会が1月16日より、町田市民文学館ことばらんど(町田市原町田4、TEL 042-739-3420)で開かれる。
山中さん(1931~)は戦時下の幼少期、冒険物語や探偵小説などの大衆小説に親しみ、宮沢賢治の童話から影響を受けて、児童文学作家になることを決意。早稲田大学在学中に出会った鳥越信、古田足日らとともに転換期の日本児童文学を牽引(けんいん)するが、訓育(くんいく)主義的になる児童文学に異議を唱え、「児童読物作家」を自称して独自の道を志す。
流行も積極的に取り入れながら、その時代を生きる子どものありのままの感情や言動を軽快に描いた「ぼくがぼくであること」(1969年)、「あばれはっちゃく」(1977年)、「おれがあいつであいつがおれで」(1980年)などの娯楽性の高い作品が人気を呼んだ。映画やテレビドラマなど映像化されたものも多く、幅広い年代に親しまれている。近年は、旧作に手を加えた新装版が出版され、物語が持つ普遍的なおもしろさに再び注目が集まっているという。
同展では、創作活動の原点から現在までをたどりながら、魅力あふれる作品の数々を紹介。戦争体験を原点としながら、時代の変化に柔軟に対応し、物語を通して子どもと対話し続ける山中作品の魅力と作品に込めた思いを、漫画原画やドラマ脚本も交えた約450点の資料から考察する。
関連企画として、野上暁さん(児童文学評論家)の講演会、映画「あの、夏の日」「転校生」の大林宣彦監督と山中さんのトークショーと上映会などを予定する。
開館時間は10時~17時。月曜・2月12日・3月10日休館。入場無料。講演会、トークショーは事前申し込みが必要。3月21日まで。