そば・うどん店「櫻屋」(相模原市中央区淵野辺4、TEL 042-707-8063)が淵野辺に移転して、6月10日で10カ月を迎える。スタッフの竹田直仁さんは「淵野辺での知名度はない。ゼロスタートのつもりで営業している」と話す。
同店は渋谷から移転して、町田市に隣接する川崎市麻生区片平の市街化調整区域で1989(平成元)年に開業。茅葺屋根の古民家で提供するうどんやそばに加えて、数十種類の総菜を好きなだけ食べられる「おばんざい」が人気を呼んだ。店の前にあった桐光学園のグラウンドは後に川崎フロンターレの練習場になり、フロンターレの選手にも親しまれた。
先代が2021年末に逝去し、惜しまれながら閉店。近隣で移転先を探す中で徐々に片平から遠ざかり、淵野辺の物件が条件に合ったという。竹田さんは「先代から生前、『従業員を頼む。店にあるものは自由に使っていいから』と言われ、店ののれんを守るために経営を引き受けることにした」と話す。
竹田さんは自動車を中心とする総合商社の経営者。知人のつながりで、コロナ禍で片平店の経営を支援してきたという。古民家の雰囲気を少しでも残したいと、片平店から持ち込んだ家具や木材、石材を店内にあしらう。店舗面積は約17坪。席数はテーブルとカウンター合わせて30席。店内にはフロンターレのユニホームや写真を飾る一方、SC相模原のポスターも加わった。「店を利用してもらっているフロンターレのサポーターにも理解を得た」(竹田さん)。
主なメニューは、そばまたはうどんとカツ丼のセット(1,500円)、天ざるそば(1,700円~)、もりそば(1,200円)、女性限定の櫻屋セット(1,500円)など。価格は片平店から変えていないという。ランチタイム以降は、メインメニューまたはセットメニューの注文客は、10種類ほどの「おばんざい」が食べ放題になる。そばは、二八そばから9割そばに変更。そばつゆは長期熟成させて、「やや塩味を弱めた」という。ランチタイムの客単価は1,300円。
駅からの徒歩圏に立地が変わったことから、日本酒を中心とする酒類やつまみのメニューを増やした。周辺には大学が多いことから、学生にも利用してほしいとモーニングやカフェタイムを設定し、コーヒーやサンドイッチ、スイーツなどの提供も始めた。「コンセントも設置したが、まだ認知度が低くて利用は少ない」という。
先代の意思を継ぎ、片平店で働いていた『おばちゃん』7人は、1人だけ入れ替わって今も淵野辺店で働く。「彼女たちの結束力は見事。淵野辺では全員が一緒に働く機会はないが、助けられている」と竹田さん。「片平店のような売り上げをすぐに達成するのは難しいが、売り上げを伸ばして子ども食堂を開きたい」とも。
営業時間は、モーニング=7時30分~10時、ランチ=11時~15時、カフェタイム=15時30分~17時30分、ディナー=18時~23時。水曜定休。