町田市内の酒店で12月1日から、柿ワイン「禅寺丸」が限定発売されている。
原料の禅寺丸柿は日本で最初に栽培されるようになった柿で、約800年前に王禅寺(川崎市麻生区)の住職・等海上人が発見し、繁殖を奨励したのが始まりとされている。禅寺丸柿は元禄時代にはポピュラーな柿として全国で栽培されたが、昭和40年以降、「富有柿」や「次郎柿」などの優良品種が現れるにつれて商品価値が落ちて自生するままとなり、次第に切り倒されていった。
江戸時代から鶴川・小野路界隈の農家の垣根代わりに植えられていたという、町田の原風景である禅寺丸柿を残すため、町田市はワイン研究所に試作研究を依頼して商品開発を行い、1991年から販売を始めた。現在、町田市は市内農家と生産契約を結び、町田農協が集荷した柿をサントネージュ山梨工場で生産している。今年の生産量は約2,300本。例年4月には完売するという。
「このワインは香りが良く、ソフトな口当たりのやや甘口。5~8度に冷やして飲むとおいしい」と説明するのは、町田酒販協同組合の土屋隆理事長。「禅寺丸柿は糖度が高く、柿ワインに適した品種。多摩特産の禅寺丸柿だけで作った柿ワインは貴重品なので、ぜひお試しいただきたい」とも。
参考価格は1,360円(720ミリリットル)。