童謡「花嫁人形」の作詩者として知られる詩人・画家、蕗谷虹児(ふきやこうじ)の展覧会が10月15日、町田市民文学館ことばらんど(町田市原町田4)で始まった。
蕗谷虹児は1898(明治31)年、新潟県新発田生まれ。上京後、竹久夢二の紹介で少女雑誌に多くの挿絵を描き、モダンな作風が読者の熱狂的な支持を得て人気作家となる。1922(大正11)年から詩画集を次々と発表し、パリ絵画修行では藤田嗣治や東郷青児らと交流。その成果が表れた詩画集「花嫁人形」(1935年)が代表作で、杉山長谷夫の作曲により童謡となる。
1954(昭和29)年に町田市玉川学園に転居。約20年間を過ごし、絵本の挿絵のほか、アニメ制作や個展の開催、画集の出版など新たな分野への活動を広げた。
同展では、花嫁人形などの詩画集の原画、少女雑誌の表紙や挿絵の原画、パリ時代の絵画など約200点を展示。蕗谷の詩人としての業績を、美しい装丁と叙情画に彩られた画集を通して見直し、美への自負と家族への愛に支えられて描いた作品世界を紹介する。
「華々しい活躍とは裏腹に、蕗谷の人生は波乱に富んだ苦難の連続だった。愁いをたたえた詩句には、家族のために自己をささげた、蕗谷の深い思いを見ることができる」(同館学芸員)。
観覧時間は10時~17時(第1・3金曜は20時)。観覧料は、一般=400円、大学生・65歳以上=200円、高校生以下無料。月曜休館。12月18日まで。