町田の魅力づくりについて考えるシンポジウムが7月8日、町田市民ホール(町田市森野2)で開催された。主催はNPO法人顧問建築家機構(原町田4)。
冒頭、中心市街地商業活性化アドバイザーの百瀬伸夫さんが「町田駅前商店街の現状と課題」をテーマに講演。人口減少・高齢化や社会状況の変化、ネット時代の購買環境の変化、商業床の需要低下、ナショナルチェーンの将来的な停滞、賃料の高止まりによる新規店進出の機会喪失などにより、「このままでは町田の中心市街地が衰退する」と断言。
先進的なまちづくりに取り組む米ポートランドやサンタナ・ロウ、丸亀市を紹介しながら、生産緑地の指定解除で宅地が大幅に増加することが見込まれる2022年に向けて、「BID(地権者負担による街の資産価値向上の取り組み)」や「ミクストユース(土地利用の複合化)」による「街の再生、魅力づくり」が必要と提言した。
シンポジウムでは、司会の徳尾和彦さん(町田市観光コンベンション協会・前事務局長)が「だれがイニシアチブをとるのか」と問題提起。「街をプロデュースすることが大切。若い人やクリエーターの突き抜けたアイデアにヒントがあるのではないか」(山口有次・桜美林大学教授)、「地権者は、利益を地域に還元するプロ集団(街づくり会社)に建物の使い方を委ねるべき」(百瀬さん)などの意見が出された。
「エリアマネージメントで街の魅力をアップするには高家賃がネックになるのでは」という会場の質問に対し、百瀬さんは「家賃をとことん下げて、他で収益を得る事業構造をつくらない限り地域再生はない」と回答。「ただし、家賃を下げる人はいない。町田の商業の顔はひどい。団地など郊外をしっかりつくりながら、時間をかけて中心市街地をつくり直さなければいけない」と悲観した。
そのほか、若者や女性による起業の機会創出、地域情報ポータルの必要性、ネット接続環境の整備、まちのファンづくりなどについてのアイデアが出された。同NPOは今後も、「まちの魅力づくり」などテーマに企画を実施するという。