三浦しをんさん原作の映画「まほろ駅前多田便利軒」のロケが7月中旬から、町田駅周辺で行われている。
同作品は、東京郊外の地方都市「まほろ市」で便利屋を営むバツイチ男・多田啓介と、正月に多田の元に転がり込んできた高校の同級生・行天。2人のワケあり男が癖の多い依頼人の仕事をこなしていく1年を描いた物語。文中には、まほろ駅(町田駅)、ハコキューデパート(小田急デパート)、コーヒーの神殿アポロン(珈琲の殿堂プリンス)など、町田市民であれば思い当たる場所が随所に登場する。
原作の三浦しをんさんは早稲田大学文学部を卒業後、大型古書店・高原書店(町田市森野1)でアルバイトをしながら執筆活動を続け、同作品で2006年上半期の直木賞を受賞。現在、累計40万部を突破する大ヒットとなった。
主役には、多田啓介=瑛太さん、行天春彦=松田龍平さんをキャスティング。監督・脚本は、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」「ゲルマニウムの夜」のメガホンをとった大森立嗣さん。制作はリトルモア(渋谷区)、フィルムメイカーズ(港区)。
7月中旬から町田駅周辺で行われているロケには町田市も協力。市のホームページでエキストラの募集をしたほか、駅前広場や路上など公共空間での撮影許可にかかわっている。エキストラには2,000人以上の応募があった。「町田を舞台にした直木賞受賞作品の映画化ということで、市としても特別な対応をしている」と町田市産業観光課の担当者。
ロケ当日は、瑛太さんや約20人のエキストラらが町田駅周辺を移動しながら朝方まで撮影を行った。偶然、ロケに遭遇した通りがかりの人々は興味深そうに撮影風景に見入っていた。ロケについて、リトルモアの中野朝子さんは「三浦さんの文章で描かれているように町田は揺りかごから墓場まで何でもそろっている街という印象を受けた」と話す。クランクアウトは今月中旬で、劇場公開は2011年春を予定する。