シーラカンスの冷凍標本を解剖へ-東工大すずかけ台キャンパス

1体目のシーラカンス冷凍標本

1体目のシーラカンス冷凍標本

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 東京工業大学は12月22日、同大学すずかけ台キャンパス(横浜市緑区長津田町)でシーラカンス標本の解剖を一般公開する。

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 シーラカンスは古生代デボン紀(約3億8千万年前)に出現した魚で、長い時間を重ねていながら大きな形態の変化が見られないことから「生きた化石」と呼ばれる。原始的な両生類に似た丈夫なヒレを持っていることから、海に住んでいた生物の中で最初に上陸を果たした種の祖先だと考えられている。現在ではシーラカンスはハイギョと並んで陸上動物の祖先のグループであると考えられているが、詳しい進化の過程は謎のままという。1938年に南アフリカ共和国カルムナ川で初めての個体が発見されて以来、世界中の研究者によって形態学的研究が詳細に進められてきた。

 解剖されるシーラカンスは、同大学大学院生命理工学研究科の岡田典弘教授がTAFIRI(タンザニア水産研究所)から寄贈を受けたシーラカンス冷凍標本2体のうちの1体。この個体は全長166センチメートル、捕獲時の体重105キログラムで、タンザニアで捕獲された最大のシーラカンス。

 岡田教授は寄贈に伴い、第一線の研究者を集めた「シーラカンスコンソーシアム」を設立、22日に解剖を開始する。1体目の解剖は組織学的研究目的で、国立科学博物館脊椎動物研究グループ長の山田格博士が解剖執刀し、2体目は分子レベルでの研究目的で三宅力博士が冷凍状態で執刀する。

 現在最先端の科学技術でシーラカンスの組織学・生化学研究に臨み、「海から陸上への進出を遂げた脊椎動物の進化史を解明する鍵ともいえるシーラカンス研究の重要な一歩となる」という。

 22日は実際の解剖の様子を一部公開するとともに、解剖映像の同時配信を同大学すずかけ台キャンパスと大岡山キャンパス内で予定している。解剖に際しては、約20年前にシーラカンスの解剖経験を持つ国立科学博物館名誉研究員の上野輝彌博士が解説を行う。併せて2体目の冷凍個体の展示も行う。

 時間は10時30分~18時。場所は、同大学すずかけ台キャンパス・フロンティア創造共同研究センター棟1階ほか。入場無料。申し込み不要。

東京工業大学

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