文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業42年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
興奮度MAXな様子がひしひしと伝わってきます。
彼女はいったいどうしたというのでしょうか?
以前にもお話しした通り、トーコーキッチンはわたしたち東郊住宅社が管理する1,600室の賃貸物件に入居しているみなさんのための特別な食堂です。入居者のみなさんが自室に入るために使っているカードキーでのみ開くドアが食堂入口に設置されているからです。
それでは、もしトーコーキッチンを利用したいと思うも、今現在、他の不動産屋さんの賃貸物件にお住まいの方は、東郊住宅社の物件に引っ越さなくてはならないのでしょうか? 実は自らが引っ越しをしなくても、突如として東郊住宅社の入居者に、つまりは、トーコーキッチン入店に必要なカードキーの保有者になるミラクル(?)が起こることがあります。それは、現在お住まいの賃貸物件の管理会社が東郊住宅社へと変更されたときです。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2017年2月16日。翌々月から東郊住宅社へと管理会社が変更になる賃貸物件にお住いのみなさんに、ご挨拶をかねてトーコーキッチンのカードキーをお届けした日のことです。想像もしなかった出来事に突然遭遇した驚きを誰かに伝えたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。
「文字化けの□□□が惜しまれるところでありますが……絶叫系つぶやきをありがとう! もうすぐでウチの子です。第2のお家として、遠慮なく利用してね。どうぞご贔屓に!」
その後、食事はもちろん、勉強に、趣味のひとときに、友人との交流にと、あっという間にトーコーキッチンの常連さんとなってくれた彼女。トーコーキッチンという場を最大限に有効活用して楽しんでくれる、東郊住宅社の大切な入居者の一人となってくれたのでした。
他にも、東郊住宅社に管理会社変更となったその当日、新たに入居者となった男子学生がアルバイト志願で履歴書片手に突然来店してくれたこともありました。また、「娘が住むアパートの管理会社がTVで紹介されていたトーコーキッチンを運営する東郊住宅社に変わった」と知ったお母さまが、その喜びを当社に伝えたいと電話をくださったこともありました。
そして、管理会社を変更したことで、入居者本人はもとより離れて暮らすご家族にも喜んでもらえるという初めての体験に感動し、以後、入居者の誕生日にはお祝いの言葉を添えてトーコーキッチンのドリンクチケットをプレゼントする物件オーナーさんも現れました。
ところで、入居者向け食堂であるトーコーキッチンは、東郊住宅社の管理物件入居者のみなさんのためだけに存在する、世間と隔絶された空間なのでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、そこにトーコーキッチンをきっかけにしたつながりを楽しんでもらえたらうれしい、というわたしたちの秘めた思いがあるのです。
でも、それはまた別のお話。