文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業43年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
ぶっきらぼうさ故の切実な様子がひしひしと伝わってきます。
彼はいったいどうしたというのでしょうか?
前回もお話しした通り、トーコーキッチンはわたしたち東郊住宅社が管理する1,600室の賃貸物件に入居しているみなさんのための特別な食堂です。しかし、入居者以外の方でも、入居者に同行すれば、何人でも、何回でもご利用いただけるという特例も設けています。
ところが、トーコーキッチンに行きたいときに、同行してくれる入居者が見つからない場合もあります。また、そもそも、東郊住宅社の管理物件入居者である友人・知人がいない場合もあります。……そんなとき、一体、どうしたらいいのでしょうか?
そこで、先ほどのつぶやきです。
2018年4月24日。ちょうど、トーコーキッチンが当日の営業を終えたばかりのころでした。誰かにトーコーキッチンへ連れて行ってもらいたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼にこう返信しました。
「センセーショナルなつぶやきをありがとうございます。心底しびれました。『トーコー民』……こんな素敵な新語を生み出してもらえるなんて、不動産屋冥利に尽きる思いです! ところで、同行してくれる『トーコー民』は見つかりましたか? 初回に限り、みなさんご利用いただけますので、ぜひお試しください!」
先述の通り、原則的に入居者以外の方のご利用の場合には入居者の同行が必要です。しかし、次のようなご案内を添えつつ、初回に限っては入居者の同行がなくてもご利用いただける超特例も設けています。
「もしもトーコーキッチンをお気に召してくださり、2回以降のご利用を希望される際には、まちで東郊住宅社のカードキーを探してみてくださいね!」
これは、鍵のかかったトーコーキッチンのドアを開けられるのは、入居者が所有する「カードキー」だけではなく、入居者との「関係性」でもあり得ることを意味しています。そして、そこにトーコーキッチンをきっかけにしたつながりをより多くの方に楽しんでもらえたらうれしいというわたしたちの思いも込められています。
ところで、入居者としてではなく、同行者として利用するトーコーキッチンは、やっぱりどこかよそ者のような、居心地の悪さを感じるのでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、そこにトーコーキッチンをきっかけにしたつながりを楽しんでもらえたらうれしい、というわたしたちのもう一歩踏み込んだ思いがあるのです。
でも、それはまた別のお話。