文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業43年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
誰かからのツッコミを待っている様子がひしひしと伝わってきます。
彼はいったいどうしたというのでしょうか?
トーコーキッチンはわたしたち東郊住宅社が管理する1,600室の賃貸物件に入居しているみなさんのための特別な食堂です。しかし、入居者以外の方でも、入居者に同行すれば、何人でも、何回でもご利用いただけるという特例も設けています。
そのため、当然の大前提として、トーコーキッチンは東郊住宅社が管理する賃貸物件に暮らす約3,000名の入居者のみなさんのための特別な空間なのですが、それと同時に、入居者のみなさん各々がお連れする無限大数の同行者の方々にとっての空間にもなり得ます。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2016年2月17日。トーコーキッチンの運営を開始して50日が経過したころのことです。自宅から通学していた彼は、東郊住宅社が管理する賃貸物件に住んでいる友人に連れられて初来店。トーコーキッチンで遭遇した不思議体験を伝えたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼にこう返信しました。
「うん、もう友達だね!」
先述の通り、トーコーキッチンは入居者のみなさんのための特別な空間であり、その同行者のみなさんにとっての空間でもあり得ます。だから、同行者みなさんがよそ者のような居心地の悪さを感じたりすることないよう、入居者のみなさんに対してと全く同じスタンスでコミュニケーションを取らせていただいています。何せ「同じ釜の飯を食う」間柄ですから。
さらに言うと、入居者が所有するカードキーで鍵を開けないと入ることができない店内は、たとえ知らない人同志であっても、辿っていくとカードキー、すなわち、東郊住宅社に辿り着くという不思議な空間になっています。東郊住宅社を起点にしてゆるくつながるリアルSNSのような、そんな空間です。
そのことが背景にあり、彼は、その日たまたま友人に連れられて訪れたトーコーキッチンで偶然出くわした初見の不動産屋の二代目といつの間にやら談笑していた、という自身の珍体験を面白おかしく思い、そして、「友達になった」という表現でつぶやいてくれたのです。
ところで、やはりトーコーキッチンは学生さんのためだけに役立つサービスとして考えられたものなのでしょうか? 実際に利用しているのは学生さんばかりなのでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、そこにトーコーキッチンを入居者サービスとして実現させるに至ったわたしたちの本当の思いがあるのです。
でも、それはまた別のお話。