みなさんはラジオをどのような時に聴きますか?
「音楽を聴きたい」「パーソナリテイーのおしゃべり」「ニュースを知りたい」などなど様々な理由があると思います。
そして、全国的な事柄を扱うTVと区別するかのように、1990年ごろからラジオに「地元の情報を知りたい」という要望が強くなりました。例えば防災情報やイベント情報、行政情報などです。
自分の生活している土地の身近な情報を発信するラジオ局。
それが「コミュニティーエフエム」です。
FMHOT839(エフエムさがみ)は全国43番目の「コミュニティーエフエム」として20年前の1996年に相模原市に開局しましました。
今も相模原市・町田市・愛川町の情報を中心に「地元密着」の情報を発信しています。
20年前、何をしていたかというと。
生まれ故郷の九州・宮崎の高校生で、卒業後は日本の大学に落ちたのでアメリカの大学に行くという少々荒れ模様の人生の入り口にいました。
当然、「相模原市」も「町田市」も「愛川町」知らない「ぼっけもん(九州の方言で乱暴者みたいな意味)」。
そんな人間が。
11年前に様々な要因の波に押されて流れ流れて相模原に来てFMHOT839にお世話になりました。
最初はボランティアスタッフです。アルバイトをしながらまずはこの「地元」を勉強していきました。本当に基本的な事です。地名とか場所とか。この街で生活するために必要な事ですし、自分が番組を持つためにも必要な知識です。
ラジオの技術などは九州で5年間ほどラジオ局やテレビ局にいたので少しは身についていました。
やがて、番組を持たせてもらうことに。
どんな番組をつくるか?
「地域密着の番組を」それが趣旨です。
相模原に住んだからには相模原の人間になって、相模原を知ろう。
どうせなら。
自分が相模原を知る過程を番組にしていくと面白いではないか。
そして、すべて地元の話だけで構成された番組を作ってみたい。
アメリカに住んでいた時に必ず出る話題。
「君の故郷はどんなところだい?」
色々な人種と文化が混在するアメリカでは、その人の持つ「歴史」を理解する必要があるのかそういう質問が多いです。
意外とこの質問にはすんなり答えられない。
自分の故郷や自分の住んでいる土地というのは、知っているようで知らない。
僕は音楽もできなければ、爆笑を誘うような話術もないです。
「地元の人が忘れている地元の話題」「地元の人が知らない地元の話題」
僕が番組を始めて、続ける中で「番組の核」として目を付けたのはこの点です。
これを「武器」に戦っていこう、と。
まずはこの街を知ろうと地図を片手にうろうろ。
一日中うろうろしていたこともあります。
当時はバイトもしていたのでお金を節約すべくひたすら歩いたり、20キロも自転車で移動したり。11年前ですから、思えば「体力」がありましたね。精神的にも肉体的にも。え
ただこの時の経験が今も自分の大きな糧になっています。
歩くことによって風やにおいや地形などの感じたこと、車では入れない狭い道の先に合った歴史的な産物。
「足」でしか見れない地元の情報。
それが、私の番組を構成する大きな要素となっていきます。
歴史やスポーツ、生活情報など足で稼いだ情報を集め、様々な人々に番組に参加してもらい、いろんな視点から地元を見ていこう。
そう。
狭い小屋の中で、一芸に秀でた人々が集まり、自分の技を披露する。
まるでサーカス団のような番組。
そして。
アメリカ行きの飛行機の中で。
小さくなる日本の夜景を見ながらイヤホンから聞こえていたあの曲。
ベートーヴェン ピアノソナタ 第14番 「月光」
あの曲はいいな。
静かに力強く。繊細に大胆に。
目を閉じれば、旋律だけで月下の出来事がありありと浮かぶ。
月の満ち欠けの様に、時間と季節を感じられるように。
飛行機の中で感じた未知の生活へと向かう昂揚感と冒険心を忘れないように。
こうして
「それいけ!さがみ月光団!」
という番組が生まれました。
今では「団長」と呼ばれる僕。
ちょっと恥ずかしくて、照れくさくて
今思えば、いい番組名・・だったかな。