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ここにはたしか!
♯040 オリンピアビル、原町田ショッパーズプラザ(ダイエー)、レコファン町田店

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町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。

♯040 オリンピアビル、原町田ショッパーズプラザ(ダイエー)、レコファン町田店

 こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、町田市在住。あいかわらず東京都内の新型コロナ感染者数は不穏な推移でして、もうすぐ本来東京オリンピックが開催されるはずだった7月22日だというのにねぇ。そして、来月に予定されていたフジロック'20も延期ですか。4月の発表では最終日ヘッドライナーが「忌野清志郎 Rock'n'Roll FOREVER」で、ゲスト出演者には奥田民生、Char、YONCE etc.、私の好きなミュージシャンの名前もあったのに。でっ、そのフジロックにはちょっとした思い出があって、1997年の天神山スキー場(山梨県南都留郡鳴沢村)でのとき、私は偶然近くに住んでいるともだちの家に泊まっていました。豪雨の夜、クルマで買い出しに出かけたらずぶ濡れの若者たちが少なくもなく彷徨っていまして、つらそうにしてた男女3人組を国道沿いのセブンイレブンまで送ったなぁ。「レッド・ホット・チリペッパーズは演ったの?」「アンソニーすごかったっす」みたいな会話しながら(懐)。

写真は原町田四丁目商店会側から、文学館通り~「二・六の市」発祥の碑もある三丁目商店会への道。四つ角に面したアイボリー基調な4階建てのオリンピアビルは、もともとは「オリンピア靴店」として1981年竣工、とのこと。靴屋さんのころの記憶はないのですが、私、2013年に町田に戻ってきてからは、おもしろい雑居ビルだと思ってときどき探検していました。なんか、平成中期の下北沢北口あたりにありそうな個性的な店も集まっていて。それで、今回の撮影時にも覗こうとしたら、路面のセブンイレブン以外はもう閉鎖されてます? ググってみると、古着の「CANNONBALL」は昨年二丁目のKKビルに移転、そしてロックなTシャツなどを扱っている「SEEK & DESTROY」は今年3月からオンラインショップに、との書き込みを発見。屋上が不思議なかたちをしていて好きな建物なんだけれど、まあ、まわりにすごいのがいっぱい建っちゃったし...どうも、そう遠くもなく姿を変えるようです。

ビルの斜め向かいには2016年にできたアトラスタワー町田があり、なかにはダイエーが。ここに2013年まであったものを「メディアバレー」だと思うのか「トポス」だと思うのか...私はさらに古い世代なので、ここ、以前もダイエー(原町田ショッパーズプラザ)だよ! なんです。ダイエーが首都圏進出した当時に小学生だった私は、親に連れていってもらうのが楽しくて。食品売り場に見たことのないインスタントラーメンがあったのを、なぜかいまでも覚えている。「サッポロ一番」とか「チャルメラ」とかじゃない、安いの(いま思えばプライベートブランドの走りの商品だったんだろうな)。「良い品をどんどん安く、より豊かな社会を」が、勢いのあったころのダイエーが掲げたスローガンでした。私の世代はそのような方針の恩恵をたくさん受けて育ったんですが、しかし、いまになると、その発想のいき着く先が新自由主義の隆盛だった、とも。良い品はやはりそれなりの値段だし、いけいけどんどん過ぎると社会が壊れちゃう、が2020年コロナ禍の気分。あっ、ダイエーは1980年代、銀座にプランタンというデパートをつくりまして、当初は小さいけれど小粋なショップ(DCブランド)が並んでいたのでした。20代だった私は自分も小粋になりたくてKARL HELMUT(ピンクハウス)の派手なシャツとか買ったりしていました。今年はアパレル業界も散々なようで、たいへんな世の中です。

この界隈でもうひとつ思い出すのは、レコファンのこと。1988年、いまの文学館通りからターミナルプラザへと向かう歩道橋に隣接したリンズワンビルの4階に町田店ができました。そのころはレコードからCDへの移行期で、とにかくここにいけばなにかおもしろいアナログ盤が見つかる、とわくわくしたものでした。その後、1996年には西友の6階に移転して売り場も広くなって、でもやがてCDが売れない時代になって、西友のレコファンは2010年に町田東急ツインズウエスト8階に再移転したものの、その後3年で町田からは撤退。そして先月、レコファンの旗艦店である渋谷BEAMS店もこの秋に閉店、とのニュースが。いやぁ、うちにあるレコードの何割かはレコファンで買ったもののはずだし、1号店(下北沢北口のSOBEIという美容室の奥)のころから通ってたので感慨深い…けれど、いまはストリーミングから瑛人の「香水」みたいなヒット曲が生まれる時代なんだよなー、と部屋の隅を占拠している「レコファンで買ったモノ」を見つめて呆然とするばかりです。

【プロフィール】
多田洋一(ただ・よういち)
フリーランスのライター&編集者。雑誌での取材や映画/テレビドラマのノベライズ等。2010年より年1回、個人主宰の文芸創作誌「ウィッチンケア」を発行。第10号は2019年4月1日に発行!
http://witchenkare.blogspot.com/
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