町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。
こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、町田市在住。ええと、前回まで4回に渡ってギタリストのCharのことを書いていましたら、さすがに編集長氏から「読者がわからないのでは?」的なアドバイス(プレッシャー、ともw)をいただきまして。はい、それではもっと多くのかたがご存じだと思われる、ビートルズについて。...といっても、私がものごころついて自分で音楽を聴き始めた時点(1972~1973年)で、すでにビートルズは解散していました。ジョン・レノンは小野洋子とプラスティック・オノ・バンド(ウィズ・エレファンツ・メモリー・アンド・インヴィジブル・ストリングス)を組んで「女は世界の奴隷か!」を、ポール・マッカートニーはウイングスとして「007 死ぬのは奴らだ」のテーマ曲をヒットさせていました。でもその2人も、デヴィッド・ボウイなんぞを聞き始めた当時14歳のオレには「古い時代の人」に感じられて...。ということでビートルズの話、次回に続きます。
前回は小田急百貨店町田店の7階からの風景でした。今回は地上に降りて、第一踏切あたりから駅の駅北口へと続く道の、午前中の写真。 じつは私、むかしもいまも「北口ッ子」なんですよ。なんといっても、ここ、クルマでの人の送り迎えに一番便利。いまなら「駅に着いたら北口の階段を上って箱根そばとポストのある横断歩道のまえで待ってて」で、OK。ただ、道はフン詰まるし、歩行者との接触を最大限注意しなきゃいけないので、あまり良い方法ではないな、とは思っていますが。...とはいえ、この線路沿いの細くて混雑する道、ひとむかしまえよりはずっとすっきりしたように感じるのは、かつて線路側の道路幅半分くらいが、自転車とバイクで埋まっていた時代を覚えているから。慣行、と言いますか、駐輪場が整備されるまえの時代にはなんとなく「ここ、みんな停めてるからいいんだろう」ということで、長く無料駐輪場と化していました。左側の自転車に気を配り、右の歩行者を決して引っかけないようにクルマで走っていたころに比べると、いまは道幅が広いと思える...でも、いずれ、この道も車両通行制限(禁止)になりそうな気が。
約半世紀も町田駅利用の8割がたが北口、という私ですが、ではこの近辺に現在なじみの店があるかというと、ほぼ「ない」なんですよね。どこにでもあるチェーンの食べ物屋さんがずら~っと、しかも、しょっちゅう入れ替わっていて。POPビルや栄通りのほうまで含めても、気にとまるのは新しくなったCoffee&Jazz「ノイズ」、むかしはお寿司屋さんだよねの「GOCHI ときわ」くらいかなぁ、お気に入りだった古着屋「HAKUi」は昨年春に閉店しちゃったし。そんななか、やはり古着屋の「ダメージドーン」は、時間があると、わりとよく覗いています(最近はアメリカントレンチの靴下を買った)。あっ、このあたりで覚えていること、いくつか。北口を出てすぐのパチンコ屋さんは、最初は「大松」という名前だったはず。P&P小田急町田駅前パーキングの向かいにある水色のかわいい平屋の建物、素敵なのでいつまでもずっとあってほしいです。第一踏切のほうに戻って、POPビルの1階には、かつて喜多方ラーメンの店があったけれど、あそこもチェーン展開してたとこだったような(夜遅くまでやってて、何度か食べた)。
それで、何年かまえには水道管事故などもあって、いまや町田のレガシーみたいになったPOPビル。私も記憶がないんですが、かつてはここがバスの発着所で、町田高校のまえを通って本町田のほうまで走っていたそうなんです(母親の証言)。でっ、このビル。もともとは緑屋原町田店。ググってみると、緑屋は高度経済成長期には四大月賦百貨店(他は丸井、丸興、大丸百貨店)のひとつとして隆盛を極めていた、とか。私の年配の知人にひとり、パルコのことを「あれは丸物だよ」(1969年まで池袋にあった百貨店「東京丸物」のこと/パルコの前身)という人がいたんですが、さて、いま緑屋と聞いてピンとくる人がどれだけいるのか? 私は、できたばかりの緑屋の上のほうの階のボウリング場でプレイしたこと、ありますよ。両親はマイボール持ってたし。...あのころ、8ポンドのボールでも重く感じたなぁ。でっ、月日が流れて緑屋はクレディセゾンになり、ウィキペディアには「1983年に閉店」と書かれています。私は社会人2年目の冬、ここでチャップス(ラルフローレンの低価格ライン)のツイードのジャケットを──月賦だったか一括払いだったかは失念したけれども──たしかに買いました。それが最後で、その後POPビルがなぜ雑居ビル化したのかは、どなたか事情に詳しいかたに、いつか教えていただきたいです!
そして、最後に宣伝を。私が2010年に創刊した文芸創作誌「ウィッチンケア」。第11号を4月1日に発行します。町田市では久美堂本店、TSUTAYA 町田木曽店などで入手可能。目次には「町田ゆかりの書き手」の名前が少なくもなく...。掲載作品はすべて書き下ろし/他では読めない新作ばかりです。みなさま、ぜひよろしくお願い申し上げます。