特集

ここにはたしか!
♯048 GOCHI ときわ、スナック「あすなろ」、ユニオンビル

  • 50

  •  

町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。

♯048 GOCHI ときわ、スナック「あすなろ」、ユニオンビル

こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、町田市在住。ええと、ここしばらくはビートルズが話のマクラなのでありますが、ビートルズについて語るとどうしても忘れがちになっちゃうのがリンゴ・スターのことでして、うむむっ、じつは私、リンゴのレコードって「想い出のフォトグラフ」(1973年)のシングル盤しか持っていない。でっ、リンゴにまつわる逸話がなにかなかったっけとあれこれ脳内を検索したら、ひとつ出てきました。たしか2013年だと思うんですが、原宿の竹下通りと明治通りがぶつかったムラサキスポーツのあたりにいたら、前方からトッド・ラングレンが歩いてきたんですよ。そんなバカな、と目を疑いましたが、しかし眼前の顔の長い男は、見紛うことなきトッド! すれ違ったあとに検索してみたらちょうど「リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンド」の一員として来日していたんですよね。こんな偶然、めったにない。あっ、数年前に原町田中央通り商店街で「じゅん散歩」ロケ中の高田純次とすれ違ったけれども、トッドのときほどの異空間感はなかったな。

写真は住所でいうと森野1丁目。POPビル裏の三角地帯でして、約5年前に始まったこの連載の、第1回で取り上げた場所です。私が実家のある町田に戻ってきたのは2013年で、そのころはこの船の建物はまだなく、「ジーニーズ 」のところにはラーメン屋さんがあったような。...この一画、店舗はだいぶ入れ替わったけれど、むかしのまんまの雑然とした感じが好きです。「GOCHI ときわ」は、そのむかしは「ときわ寿司」というリーズナブルでおいしい〝廻らない寿司屋〟で、家族でよくいきました。「GOCHI ときわ」になってからも何度かお邪魔していまして、そういえばジョルナにあったころの「NOISE」でのとある集まりでお店の方と話す機会があって、木曽町にある「まぐろ間二」と「GOCHI ときわ」は姉妹店、というようなことを聞いた記憶が(その「NOISE」もすぐ近くに引っ越してきたりして)。

連載第1回ではジャズ喫茶の「アリス」と中華料理の「三番」をとりあげました。そのさいに書きそびれちゃったのが、「GOCHI ときわ」の並びのどこかにあったスナック「あすなろ」。高校生のころに悪い友達の溜まり場になっちゃってた時期があって(1976年)、経営されていた方は困惑していたかもしれず、いまごろになって「どうもすいませんでした」と謝りたい気持ち。しかし、なんで週に3回も4回も「あすなろ」ってたかなぁ。最大の理由はアルバイトをしていた女子が気さくでかわいかったからかもしれない。もう名前も忘れてしまいましたが、16歳で、笑い声がエヘヘ、で、いまで言う典型的なアヒル顔。なんか、1回だけだけれどカウンター席に1人でいたら、どういう風の吹き回しかコーヒーのおかわりを一杯奢ってくれたことがあって、そういう嬉しい出来事を元男子のオレは一生忘れないのでありました。

どの建物が元「あすなろ」だったのかな~、とサトー電気や串カツ屋さんの脇を通り過ぎるとホテル町田ヴィラのある、これは六叉路!? 通りの名はいまでは「まほろ横町」と呼ばれているようですが──その名の由来になった「まほろ駅前多田便利軒」の作者・三浦しをんさんがかつてアルバイトをしていたという高原書店が2019年5月まではもう少し先にあったんですよね──私が高校生のころにはまだその呼称は存在せず、なにしろ登場人物の一人・行天春彦(松田龍平)のお父さんが刑事ドラマ「太陽にほえろ!」で活躍していたわけでして。そうそう、この角にあるTM5ビルに、ジーパン刑事が駆け上がりそうな階段が付いていてずっと気になっています。ジンギスカン屋さんへ続いているようなんだけれども、まだいったことがなく。向かいのユニオンビルもだいぶ貫禄がある風情になって、ここの地下にはかつてカントリー&ウエスタンのライブもやるお店が入っていたはずなんだけれども、そこも名前が思い出せない。

あと、わりと最近の思い出なんですが、数年前にネット検索してこの界隈のとあるビルの一室にあったマッサージ店に予約を入れました、夫婦で。それで、若い女性に普通にアジアンテイストな施術してもらったわけなんですが、帰り道になんとなく気まずくて。なんというか、このお店はもしかすると夫婦ではなく「男性1名」とかで予約を入れるべきタイプだったのかもしれない、という思いが残りまして...なんて、今回も些末なことを書き連ねてしまいましたが、この連載はもう少しで50回。個人で思い出せることもだんだん少なくなってきたので、そこをひとつの区切りと定めて頑張る所存であります。これからもどうぞよろしくお願い致します!

【プロフィール】
多田洋一(ただ・よういち)
フリーランスのライター&編集者。雑誌での取材や映画/テレビドラマのノベライズ等。2010年より年1回、個人主宰の文芸創作誌「ウィッチンケア」を発行。第12号を2022年4月1日に発行します!
http://witchenkare.blogspot.com/
  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース