文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
#043「学生時代住みたかったわ!(笑) 引っ越し予定のある後輩はぜひ」
淵野辺で創業46年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。卒業してもなおインフルエンサーな様子がひしひしと伝わってきます。彼女はいったいどうしたというのでしょうか?
まちの小さな不動産屋である当社、東郊住宅社が淵野辺エリアで管理する1,800室の賃貸物件にお住まいのみなさんに、利便性と健康的な食生活を毎日提供すべく誕生した入居者向け食堂トーコーキッチン。朝の定食は100円、昼・夜の定食は500円で提供しています。
そんな特別な食堂、トーコーキッチンは2015年12月27日に淵野辺駅北口にある商店街の一角でひっそりと産声をあげました。あくまでも当社が行う入居者サービスの一環として入居者向けに運営している食堂なため、一般的な広告宣伝の類はしていません。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2017年1月27日。不動産ポータルサイト「SUUMO」でトーコーキッチンの取材記事が公開されて2日が経過したころのことです。おそらく淵野辺に住んでいたと思われる彼女。その馴染み深い淵野辺で不動産屋がやっているという入居者向けの食堂の存在を知り、良いサービスだと思ってくださったのでしょう。特に引越予定のある後輩にはぜひとも知っておいて欲しい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。
「引っ越し予定ができた際はぜひ。淵野辺でお帰りをお待ちしてます!」
先述の通り、一般的な広告宣伝を行っていなかったトーコーキッチンの存在はこうしたメディアによる取材記事や、そのサービスの在り方を面白がってくださるみなさんの口コミのおかげで、じわりじわりと広がっていきました。
彼女のように「学生時代に住みたかった」という声をはじめ、「もっと早くトーコーキッチンのサービスを開始して欲しかった」「今の部屋を契約する前に知りたかった」などと残念がってくださる声もたくさんいただきました。
おかげさまで以前に比べて最近はいくぶん多くの方に知っていただく機会も増えましたが、それでも郊外の小さなまちにある小さな不動産屋が独自に行う入居者サービスの一つです。まだまだご存知でない方が圧倒的に多い状況ですので、もっと頑張らなくてはいけません。
一方、お部屋探しの前段階でトーコーキッチンをご存知だった方からは、「トーコーキッチンの存在が入居の動機です」「こういうサービスを求めていました」「トーコーキッチンのサービスの在り方を知り、東郊住宅社のファンになりました」といった声をいただいています。
ところで、トーコーキッチンはどんな方にとって魅力と感じていただけるのでしょうか? やっぱり実際の入居者となるご本人だけなのでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、そこにわたしたちの思いが伝わったらうれしいと思う相手が存在するのです。
でも、それはまた別のお話。