特集

ここにはたしか!
♯049 町田郵便局、そば処司、町田市民球場

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町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。

♯049 町田郵便局、そば処司、町田市民球場

こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、町田市在住。はい、短くもなくビートルズを各回の話のマクラにしておりまして、ビートルズといえば、なんかやはりローリング・ストーンズについても少し語りたいです。ええと、何時何処で誰が言っていたのかすっかり忘れてしまった受け売りネタですが、両者の最大の違いについて。まずビートルズ。みなさん、なんでもいいですから有名どころの曲を思い浮かべて、ちょっとフレーズを口ずさんでみてください。はい、たいがいそこがその曲のタイトルですよね(ヘルプとかミーッシェルとかイエスタデイとかレルビーレルビーとかルーシーインザ~とかナンバーナインナンバーナインとか/以下略)。では、今度は、ストーンズの有名どころ。こっちは私が思い浮かんだフレーズを字にしてみましょう。「チャッチャッ」「ジャッジャーッ、ジャララ、ジャジャララララ」「ンジャ、ジャースジャ、スジャージャ」「チャーララッ」...ちなみに、順番に「Brown Sugar」「Satisfaction」「Honky Tonk Woman」「Start Me Up」のつもり。つまり「ビートルズの曲は歌えばわかるけどストーンズは...そもそも歌えねぇ」という、まことに大雑把な与太話でした、失礼。

写真は旭町にある町田市民球場。いまは町田中央公園内の一施設という位置づけなんですね。私が子どもだったころには球場と旧体育館(2001年リニューアルオープン)はもうあって、テニスコートができたのは1972年、とのこと。このへんは徒歩圏内の遊び場だったので、若者時代まで良い思い出も悪い思い出もたくさんあります。でっ、むかしから不思議なんですけれど、この周辺って飲食店が少ない(できても長続きしない)。2019年に惜しまれて閉店したピザハウス「ポポロ」もちょっと距離があったし、あとは旭町交差点のロイヤルホスト? あそこはけっこう古いはず(生まれて初めてピロシキを食べた店)。警察や郵便局や創価学会の人たちはどこでお昼とか食べているんでしょうか。あっ、私は高校1年生のころ、この郵便局で年末年始にバイト(年賀状対応で増員)をしていました。チャリンコで、いまの神奈中バス「市立博物館前」停留所から本町田遺跡公園あたりの一帯をぐるりと。当時あのへんは新興住宅街で、うちの母親なんかは「殖産住宅」って呼んでた記憶があるんだけれど、何故(...庭の奥のリビングからピアノの練習音が漏れ聞こえてきたり、洒落たクリスマスツリーが飾ってあったりと、当時はちょっとハイソな地域だったんですよね)? でっ、これもいま考えると不思議なんですけれど、寒い思いして配達を終えて郵便局に戻ると、担当のお兄さんが「お疲れ!」と労いながら胸ポケットの煙草を分けてくれて一緒に一服、みたいな思い出。まあ、おおらかな時代だったというか...バイト代はスガナミ楽器で買ったフェルナンデスのストラトキャスターですべて消えました。

話は旭町に戻りますが、数少ない飲食店のなかで、私がいまでもよくいくのがそば処司。ここ数年は年越し蕎麦も、司さんに予約しています。ちょっと腰の強い、白い麺。私は鴨せいろが好みでして、ノーマルだと付いてこない山葵をお願いしてもらうのが常。味、値段、量、なにも文句はありません。ただ、私がいくと店内BGMがつねに演歌なのは、なぜ? まあ、BTSやビリー・アイリッシュがかかってたらそれもヘンだけど、この歳になって藤正樹の「忍ぶ雨」とか三善英史の「雨」とかあらためて聞かされると、リアルタイムではよくわからなかった歌詞が味わい深いというか、昭和歌謡の先生たちはよくこんな曲を年端もいかない歌手にうたわせてたなぁ、というか、なんかびっくりですわい。

そして、市民球場。今回撮影のためにクルマで入っていったら、ロータリーで駐車場に誘導されるようになっていまして、いや、いまはそれがあたりまえだと思います。でも私が学生だったころは、そこらへんの空いてる場所に、適当に停めていた記憶が。でっ、なんでそんな些末なことに引っかかっているかといいますと、じつは個人的に、この市民球場の風景と微妙にシンクロする曲があるんですよ。RCサクセションの「スローバラード」。あの曲で歌われている「市営グランドの駐車場」は、絶対に駐車券があったり「時間いくらで所定の場所に」じゃないだろう、と。寒いなか、ふさしぶりにスタンドのベンチで、しばらくボーッとしていました。ここは桜がきれいな場所なんだよな。コロナ禍でもう2年もまともな花見なんかしてないけれど、今年は開花したら散歩で訪れてみようか、と。

※最後にお知らせをひとつ。本コラムは次回で50回目ですが、それにちなんで相模原町田経済新聞さんがイベントを企画してくれました。詳細は追ってお伝えできると思います(3月末を予定)。どうぞお楽しみに!

【プロフィール】
多田洋一(ただ・よういち)
フリーランスのライター&編集者。雑誌での取材や映画/テレビドラマのノベライズ等。2010年より年1回、個人主宰の文芸創作誌「ウィッチンケア」を発行。第12号を2022年4月1日に発行します!
http://witchenkare.blogspot.com/
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