文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業46年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
トーコーキッチンに多大なる貢献をしてくれている様子がひしひしと伝わってきます。
彼女はいったいどうしたというのでしょうか?
朝食は100円、昼・夕食は500円で食べられるトーコーキッチンはわたしたち東郊住宅社が管理する1,800室の賃貸物件入居者のための特別な食堂です。食堂の入口ドアには鍵をかけてあるため、入店するには入居者が持つ専用の鍵が必要になります。
それでは入口ドアを開けられる入居者しか使えないのかというと、実は特例を用意してあります。それは、鍵を持っていて入口ドアを開けられる当社管理物件入居者が同行すれば、何人でも、何回でも一緒にトーコーキッチンをご利用いただけるというものです。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2019年6月23日。夏休み前で大学生が勉強で忙しくなっている頃のことです。手間と時間がかかる自炊よりもトーコーキッチンでサクッと食事しようと思ってくれたのでしょう、彼女の後輩が。後輩は入居者ではないので、入店するには鍵役となる彼女が必要になります。そんなリクエストも初めてではない慣れた様子の彼女は、自身のトーコーキッチンにおける役割を伝えたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。
「いつもお勤めご苦労さまです。ますますのご活躍を!」
このようにトーコーキッチンの利用に関する特例を有効に使ってもらえている様子を見られるのは、わたしたちにとってうれしいことです。
友だち作りのきっかけとして活用してくれている入居者もいますし、彼女とのデートで連れて来てくれる入居者もいますし、「ウチの不動産屋ってすごいんだよ!」と友だちに自慢しながら連れて来てくれる入居者もいます。
今回の彼女のように友だちにせがまれて一緒に来てくれる入居者もいますし、部活仲間と集う場にしてくれている入居者もいますし、ママ友との息抜きの場として使ってくれる入居者もいますし、取引先との打ち合わせ場所として利用しているテナントもいます。
前回のトーコーキッチンでの家族団らんの様子を見たときと同様に、入居者みんなが喜ぶつながりが生まれる場としてトーコーキッチンが活用されている光景を見かける度に、「トーコーキッチンを始めて本当に良かった」と心から思うのです。
ところで、入居者以外の利用者はどうやってトーコーキッチンを利用するのでしょうか? やっぱり今回のように身近で入居者を探し出すのでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、トーコーキッチン利用方法の特例を楽しく有効活用してくれている方々がまだまだたくさんいたのです。
でも、それはまた別のお話。