文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業46年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
最後の「…」から切実さがひしひしと伝わってきます。
彼女はいったいどうしたというのでしょうか?
トーコーキッチンはわたしたち東郊住宅社が管理する1,600室の賃貸物件に入居しているみなさんのための特別な食堂で、2015年12月27日にオープンしました。
トーコーキッチンは一般向けに開放している食堂ではないため、広告宣伝をしていません。しかし、「朝のごはんが100円、昼・夜のごはんが500円で食べられる食堂が淵野辺にあるらしい!」という口コミはオープン直後からじわりじわりと広がり、結果として多くの方にトーコーキッチンを知っていただく機会につながっています。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2016年5月18日。トーコーキッチンのオープン後、初めての春を迎え、大学新入生の生活が落ち着きだしたころのことです。新しい友人とも親しさが増してきたころでしょうか。話題に挙がって耳にしている「トーコーキッチン」とやらいう食堂らしきところを自分も体験してみたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。
「入居者と同行すれば、何人でも、何回でもご利用いただける特例があるので、ぜひお友達の中で東郊住宅社の管理物件入居者がいないか探してみてくださいね。でも、もし見つからなくても大丈夫です。初回に限ってはどなたでもご利用いただける特例もあるので、どうぞよかったら一度ご来店ください!」
普段、トーコーキッチンのドアには鍵がかかっています。その鍵を開けるには、わたしたち東郊住宅社が管理する賃貸物件入居者が自室に入るために使っているカードキーが必要になる仕組みです。これによって利用者を限定しているのですが、それだけでは面白味が足らないと思い、先述の2つの特例を設けました。
「入居者に同行すれば利用できる」という特例は、鍵のかかったトーコーキッチンのドアを開けられるのは、入居者が所有する「カードキー」だけでなく、入居者との「関係性」でもあり得ることになります。「初めての方はどなたでも利用できる」という特例は、鍵のかかったトーコーキッチンのドアを開けられるのは、入居者が所有する「カードキー」だけでなく、トーコーキッチンへの「関心」でもあり得ることになります。
そこには、「より多くの方の淵野辺での暮らしが、トーコーキッチンをきっかけにして、より楽しいものになったらうれしい」という、まちの不動産屋としての思いも込めています。
ところで、そんなトーコーキッチンにおける人気No.1メニューは一体何でしょうか? やっぱりガツン&ドカンな肉料理でしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、わたしたちが当初予想もしなかったメニューが一番人気になったのです。
でも、それはまた別のお話。