文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
#060「トーコーキッチンで朝メシ。100円!良き!」
淵野辺で創業47年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
わたしたちの100円朝食にご満足いただけた様子がひしひしと伝わってきます。
相模原町田経済新聞の宮本編集長はいったいどうしたというのでしょうか?
トーコーキッチンはわたしたち東郊住宅社が淵野辺エリアで管理する1,800室の賃貸物件入居者のみなさんに利便性と健康的な食生活を提供するための食堂として、2015年12月27日に産声をあげました。
利便性を追求して、朝ごはんを100円、昼夜のごはんを500円にしました。健康的な食を追求して、うま味調味料や冷凍食品やレトルトは使用せず、手づくり料理を提供しています。
食堂は淵野辺駅北口から徒歩2分の商店街の一角にあります。店内は20席。年末年始(12月30日~1月2日)の4日間を除いて、朝8時から夜8時まで毎日営業しています。
不動産屋が入居者のために運営している食堂なので、普通の食堂とは違い、ちょっと変わったところがあります。それは、食堂のドアには鍵がかかっていて、その鍵を開けるためには特別なカードキーが必要になる、というところです。
このカードキーを持っているのは、約3,000人の管理物件入居者のみなさん、わたしたち東郊住宅社に賃貸物件を預けてくださっている約200名のオーナーさん、そして、当社と取引をして応援してくださっている協力関係業者のみなさんです。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2023年3月7日。協力関係業者枠で5年前にカードキー所有者となった宮本編集長。健康的で安価な朝ごはんを食べた満足感を伝えたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま宮本編集長にこう返信しました。
「トーコーキッチン物語、全60話。5年にわたり大変お世話になりました!」
はじまりは2018年6月30日の宮本編集長とのやりとりからでした。「トーコーキッチンのコラムを書いてみませんか?」とお誘いいただいたのです。その1ヶ月後に当コラムの連載がスタートし、トーコーキッチンにまつわるエトセトラを夢中で書き続けてきました。あっという間の5年でした。今回が最終話になります。当コラムをご覧くださったみなさん、そして、貴重な機会を与えてくださった宮本編集長、本当にありがとうございました!
ところで、東郊住宅社の入居者サービスは「トーコーキッチン」で打ち止めなのでしょうか? やっぱり不動産屋が入居者のためにできることには限界があるのでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、2020年から「ゴーヨーキーキー」という5分100円から頼める家事代行サービスを開始し、「トーコーキッチン」同様に、日々たくさんのストーリーが生まれているのです。
でも、それはまた別のお話。