江戸時代に旅籠(はたご)だった旧家屋を再生した「小野路宿里山交流館」(町田市小野路町)が9月29日、小野路宿通り沿いに開館した。土地と建物の所有は町田市で、NPO法人・小野路街づくりの会が運営する。
町田市が2009年に作成した都市再生整備計画に基づく施設。町で一番大きかったという建物を、歴史と文化を継承し、地域住民と来訪者が交流する場所として利用する。敷地面積は約1500平方メートル。建築面積は475平方メートル。事業費は約3億4,400万円。
旧家屋の木材を一部再利用した主屋は木造2階建て。小屋組が見える吹き抜けが特徴の交流スペースでは、地元産の食材を使った「小野路地粉うどん」(500円)、酒まんじゅう、赤飯、コロッケなどを提供。旬の野菜や果物、工芸品などの物産販売、散策コースなどの情報提供も行う。庭を取り囲むように配置された土蔵や製茶場、みそ蔵は展示ギャラリーや釜戸付きの教室などに転用した。
開館初日は、オープンと同時に大勢の人が訪れ、物産販売のレジに行列ができた。庭園では地元のおはやしと獅子舞の演舞で来場者をもてなした。
小野路街づくりの会代表の山崎凱史さんは「大勢の人に来ていただくことで、地元農業の活性化につながれば。体験農園で採れた野菜の調理、茶摘み体験、自然や歴史を学ぶ場としても活用したい。季節の祭りも開催できれば」と抱負を明かす。
開館時間は9時~17時。年末年始(12月29日~1月3日)休館。
小野路町は鎌倉時代、鎌倉幕府と武蔵国の国府である府中を結ぶ道が小野路を抜けていたことから古道が多く、鎌倉街道や布田道などが面影を残す。江戸時代中期には大山街道の宿場となり6軒の旅籠と堀割があったという。居住者の多くは里山で農業を営む。