音楽バンド「fairly hairy situation(フェアリー・ヘアリー・シチュエーション、略称フェアヘア)」が夏のコミックマーケットで1万円のセカンドシングルを頒布した。
フェアヘアは、「MotoGP2」「アイドルマスター」などのゲーム楽曲を手掛けた相模原在住の佐々木宏人さんが、アイドルデュオ「赤マルダッシュ☆」の北澤鞠佳さんを迎えて約1年前に結成。楽曲はニューウェーヴを基調とする。
セカンドシングルの価格は、「飲食店の原価率30%以内」を参考に設定。制作費は、レコーディング代=14万円、マスタリング代=4万5,000円、デザイン代=3万円、プレス代=6万円、雑費=1万円の計28万5,000円。「ドラムを生で録ってミックスまでしてもらい、マスタリングをコロムビアのチーフエンジニアにお願いしていることを考慮すると、制作費はリーズナブル」(佐々木さん)。
製造原価が約30万円で目標売上は100万円。今までの売上枚数が1タイトルあたり平均100枚前後であることから、100枚限定生産で頒布価格を1万円に決めた。
ただ、「いつものCDパッケージで1万円は申し訳ない」と、今までの路線から一時的に離れた企画物として、「遊び心を加えつつ」、北澤さんのイメージを全面に押し出した「アイドル歌謡系ニューウェーブ」を96k/24bitハイレゾ音源などの形式で、ダウンロードカードによって提供する。
コミックマーケットでの販売目標は10枚で、7枚が売れたという。「ファンが、『今回は特別(笑)』と買ってくれた。相場の10倍という一見ぼったくりみたいな値段だが、クラウドファンディングを仲介業者を通さずに(手数料を払わずに)やっているものと理解してもらえば」と佐々木さん。
「シングルの価格は1,000円前後が常識だが、インディーズはもっと自由に値付けしてもいいのではないか。意外にも他のサウンドクリエイターから大きな関心が寄せられている。今後、ダウンロードカードの希少性や動画などの付加価値で、たくさんの枚数を売らなくても創作活動を続けられる仕組みを考えていきたい」とも。
セカンドシングルは店舗での全国流通は行わず、即売会やライブでの手売りのみ。配信も追加プレスもしないという。