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レコード再生、光で技術革新 相模原の企業が20万円の初エントリーモデル

光電式カートリッジを蘇らせた青柳哲秋さん

光電式カートリッジを蘇らせた青柳哲秋さん

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 オーディオブランド「DS Audio」(相模原市南区上鶴間本町4)は1月末、光電式カートリッジのエントリーモデル「DS E1」を発売した。

光電式カートリッジ「DS E1」

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 光電式カートリッジは、針で読み取ったレコード溝の振幅を光で捉え、電気信号を検出する装置。磁界の中でマグネットやコイルを振動させる「MM/MCカートリッジ」のような磁気抵抗がなく、検出部分が軽量で針先がスムースに動くことから、「クリーンで鮮度の高い」アナログサウンドが得られると評価された。

 東芝やシャープが約50年前に製品化したが、光源となるランプの熱で音質が変化する問題を克服できないまま、アナログからCDに開発資源が移行したことで姿を消し、「伝説の銘機」と称される。

 DS Audioは、光学技術専門開発会社「デジタルストリーム」が立ち上げたオーディオブランド。デジタルストリームは、業界標準となっているDVDとBlurayのディスク評価用ピックアップの製造・開発のほか、マイクロソフトと共同で世界初の光学式マウスやジョイスティックの開発実績を持つ。AV機器メーカー「ナカミチ」からスピンアウトし、1988年に創業したベンチャー。

 開発者の青柳哲秋さん(32歳)は父親が経営する同社に入る前、会計士の資格を取得した。「主力事業がBtoBで自社名が世に出ない。自分たちの技術を世に出す事業をやるために役立つ資格を取った。ただ、大手メーカーと同じマーケットで戦うのは難しいと思っていた」と振り返る。

 きっかけは、40年前に作られた光電式カートリッジで再生されたマイケル・ジャクソン「スリラー」。「ものすごく感動」し、譲り受けた装置を分解して製品化を思いついたという。

 社内エンジニアと2人で1年かけて開発。1号機(イコライザーとセットで35万円)を2013年に発売し、世界唯一のメーカーになった。以後、新製品を毎年発表している。価格は最上位(同220万円)、上位(120万円)、中位(45万円)と高価。国内外のオーディオ専門誌で最高評価を受けたが、より多くの人に聴いてもらうためのコストダウンが課題だった。

 エントリーモデル「DS E1」(同20万円)の生産予定は300台。すでに半年分の予約が入っているという。上位機種と同設計の振動系を採用しつつも、インジケーター部分の素材変更、量産効率の向上、部品点数の削減でコストダウンした。社内で1つ1つ手作りする。

 「音質はデジタルとアナログの中間。音楽のジャンルは問わないが、好き嫌いがはっきりする」と青柳さん。「LEDや太陽電池といったパーツの高性能化で光カートリッジが現代によみがえった。新しいメカニズムを実現し、音の忠実再生を極めることが目標」と話す。

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