FC町田ゼルビアは7月6日、東京ヴェルディからのバスケスバイロン選手の完全移籍加入を発表した。バイロン選手は同日からゼルビアの練習に合流している。
バイロン選手はチリ出身の23歳。9歳で来日し、ゼルビアの黒田剛監督が率いていた青森山田高等学校3年時に全国高等学校サッカー選手権大会の優勝に貢献。いわきFCとウニベルシダ・カトリカ(チリ)を経て、昨シーズンからヴェルディでプレー。今シーズンは22試合に出場している。ポジションは右サイドのミッドフィルダー。
移籍の経緯について、ゼルビアの原靖フットボールダイレクターは「シーズン2回目の対戦で相手チームが我々を研究し、エリキ選手やデューク選手の強力FWでも崩しきれない状況になっている。J2優勝、J1昇格に向けてアップデートが必要だった。平河悠選手のようにドリブルでサイドを崩してFWにボールを配給できる、バイロン選手が候補に挙がった。エース級の選手を引き抜くことになるので、ヴェルディとは想像を絶する交渉があった。バイロン選手は悩んだ末、強い覚悟で来てくれた」と説明する。
2位ヴェルディから首位のゼルビアへ。バイロン選手は、優勝を争うチーム間での移籍について大いに悩んだという。「中学時代、『プロにする』と声をかけてくれた黒田監督と一緒にサッカーをやりたかった。ヴェルディに関わる人にとっては『あり得ない移籍』、裏切り者扱いされることも覚悟した。ただ、サッカー人生は短い。J1や海外でプレーし、日本代表になるという夢に向かうため、このタイミングでこないと思うオファーをくれた町田に行きたかった。いろいろな意見をピッチでパワーに変えていく」と決意を明かす。
バイロン選手は21日以降の公式戦に出場可能。9日に両チームが相まみえる第25節「東京クラシック」には出場できない。直前の発表について原靖フットボールダイレクターは「出場可能日から選手がフルスタートできるように、(大宮アルディージャに期限付き移籍した)黒川淳史選手と同じく、アスリートファーストでできるだけ早く練習に参加できるように配慮した結果」と説明する。とはいえ、今回の移籍発表によりJ2初の国立開催に向けてサポーターのボルテージはさらに高まっている。