小田急電鉄の特急ロマンスカー・VSE(50000形)が12月10日、ラストランで18年の歴史に幕を下ろす。
VSEは2005(平成17)年、箱根観光専用特急として就役。建築事務所「岡部憲明アーキテクチャーネットワーク」が手掛けた総合デザインは、展望席や連接台車といった伝統を継承しつつ、高いドーム型天井や木を用いた居住性を高めるための革新性を導入。シルキーホワイトを基本色に、ロマンスカーが受け継いできたバーミリオン・オレンジの鮮やかなラインが描かれた外観が人気だった。
就役以降、ニューイヤーエクスプレスなどで「小田急電鉄の顔」を飾ったが、特殊な構造や装置を採用しているためにVSE本来の性能を維持しての運行が困難となり、比較的短い運行期間で引退が決まった。
2編成で約17年、延べ600万キロ超を走行し、約2000万人が乗車した。通常ダイヤでの定期運行は2022年3月11日に終了。その後はイベント列車として利用され、1編成は2023年9月24日に引退した。
最終日の10日は、「~おもいでは永遠に~ ロマンスカー・VSE のラストランツアー」と題し、3つの行路で小田急線を運行。出発駅の相模大野駅には最後の姿を見ようとファンが訪れ、小田急線をまたぐ町田街道の中央橋でも10時前、ミュージックホーンを鳴らしながらVESが通過。数人が撮影していた。
VSE は13時頃に再び町田駅を通過。箱根湯本駅を折り返し、成城学園前駅に20時頃到着する。