音楽座ミュージカルは1988年旗揚げ。当初から町田市に拠点を置き、次々にオリジナル作品を発表。観客動員数は2011年現在で170万人にのぼる。独自の精神性とオリジナリティーが評価を受け、文化庁芸術祭賞、紀伊國屋演劇賞、読売演劇大賞など日本の演劇賞を数多く受賞している。
-町田市との関係を教えてください
親会社「サマデイ」の創業地が町田市だった関係で1987年、金森にスタジオを作りました。その後、芹ヶ谷公園そばに移転したのが現在の芹ヶ谷スタジオです。
サマデイは 創業当初、「エデュケーション」「エンターテイメント」「イーティング」の3分野において、「意識が創造するビジネスの実現」をテーマにしました。それが 早稲田塾(原町田1)、音楽座ミュージカル、プレイハウス(中町1)、アースマジック(原町田6)。エンターテイメント部門は、メッセージを感じてもらうためにも、絶対にミュージカルをやると決めていました。
これまでホームタウン公演は隣駅にあるグリーンホール相模大野で行っていました。一緒に舞台をつくろうとする姿勢が劇団に合っていると思います。 町田では地元の方向けの公開稽古やワークショップを開催しています。先日もロータリークラブの依頼で「ふれあいコンサート」を行いました。
劇団には営業専門のスタッフはおらず、メンバーが作品を創り、マーケットを創ります。町田の方々から声が掛かれば、自分たちができることは最大限やっています。今回は町田市からの声かけでホームタウン公演が実現することになり、町田との関係をあらためて認識しました。
メンバーは日々、町田で稽古し、生活しています。自分たちの生活環境から作品が生まれます。町田はパワーのある街だから、作品にもパワーが宿る。音楽座ミュージカルの作品は、町田から生まれた作品と言っても過言ではありません。
-今回の演目について解説してください
「星の王子さま」は60年前にサン=テグジュペリによって書かれ、世界70カ国以上で翻訳されたベストセラーです。1995年に世界で唯一の独占ミュージカル化権を獲得した音楽座ミュージカルが著作権の切れた2005年より、本来描きたかった脚本・演出によってつくり変えた演目が「リトルプリンス」です。今回の「リトルプリンス2011~星の王子さま~」は2011年バージョンとして、珠玉の名言がちりばめられ、まだ多くの謎が残されているという名作に、音楽座ミュージカルの解釈を与えた新しい作品です。
-1993年の初演から今回が6回目の公演になります。作品をつくり変えながら再演する理由は?
名作は全てそうかもしれませんが、幼いとき、中学生、大人になってから、読んだときによって印象がまったく違う作品だと思います。そういう意味ではとても魅力的で私たちが何度もトライしたくなるような深いストーリーがあります。決定版があるのか、いつまでもあがいている感じ。劇団の総合力が問われるし、生身の体で演じるのでパーソナリティーが違えば伝わるニュアンスも異なる。また、お客様も再演を望んでくださいます。
-稽古ではとても厳しく演技指導がされていますね。演技を途中で止めて、「脚本を深く読み、意図を汲み取って演技しているか」という指摘がありました
物語の本質をきちんと掴んでいないという駄目出しです。本番まで2週間、ここから急激に演技の密度が濃くなっていきます。私自身は音楽座ミュージカルの一ファンでもあるからこそ、しつこく求めていきます。最終的に判断するのは観客ですが。
-ホームタウン公演に向けて一言お願いします
町田の環境をともに過ごしている方たちに観ていただけるのはとても嬉しい。東日本大震災が発生し、先行きの見えない不安が社会全体に広がる中、私たちができることは何か。「リトルプリンス2011」でそのメッセージを伝えたい。
「リトルプリンス2011~星の王子さま~」は5月31日、ル テアトル銀座byPARCOでの公演を皮切りに大阪、広島を回り、ホームタウンに戻る。町田公演は7月7日・8日、町田市民ホール(森野2)で行う。チケットは現在、発売中。
【石川聖子さんプロフィール】
1950年秋田県生まれ。東京薬科大学薬学部卒業。製薬会社に勤務の後、1979年株式会社サマデイに入社。サマデイグループに1987年株式会社ヒューマンデザインが設立され取締役として入社、音楽座ミュージカルのプロデューサーとして活動を始める。
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