小田急多摩線延伸の実現について議論するシンポジウムが10月20日、相模原市立産業会館(相模原市中央区中央3)で行われた。主催は、沿線の自治会や商店会などで組織する市民団体「小田急多摩線延伸促進協議会」。
同線の唐木田から横浜線・相模線方面への延伸は2000年の運輸政策審議会(現:交通政策審議会)答申で「今後整備を検討すべき路線」と位置付けられている。
相模原市は延伸によって、東京都心・神奈川県内からのアクセス性向上による広域連携拠点の形成促進、鉄道不便地域の解消、相模総合補給廠返還予定地など沿線まちづくりの促進、駅を中心とした公共交通ネットワークの形成などの整備効果を見込む。
シンポジウムは同団体設立10周年記念。同協議会の成川猛会長、運輸政策審議会の委員を務めた政策研究大学院大学の森地茂特別教授、加山俊夫市長、筑波大学大学院講師の谷口綾子さんが登壇したほか、小田急電鉄交通企画部長(社長代理)、中村昌治市議会議長、本村賢太郎衆議院議員が冒頭の挨拶を行った。
冒頭、同協議会の成川猛会長は「補給廠の返還が決まり、夢が現実になるのではないかと喜んでいる。一刻も早く実現するよう、市民と一緒にがんばりたい」と挨拶した。
加山市長は「本市と周辺市の発展のためにも重要な事業だと強く認識している。次回の交通政策審議会の答申に向けて昨年度から具体的な検討をしている」と説明し、「(延伸が)できるかできないかではなく、着実に仕上げていきたい」「これからの高齢社会で介護、医療、保険、社会保障を負担するためには、自主財源が入ってくる投資構造に変えていく努力をしなければならない」などと力強く語った。
森地特別教授は、2015年に行われる交通政策審議会の答申で「目標年次までに開業する路線」に位置付けられるためには、「プロジェクトの位置づけと意義の明確化」、「沿線、ターミナル周辺の開発計画」、「関係者の合意形成」、「財源確保」などが必要であると指摘、「ここ1年が勝負」と締めくくった。