画家・銅版画家の隠地妙(おんじたえ)さんは6月1日、藤の台団地のショッピングセンターにアトリエ「Onji(おんじ)」(町田市本町田)を開設した。
隠地さんは1964年、女子美術大学を卒業。東京と広島で個展やグループ展を開催してきた。1999年より、パリの工房で銅版画の制作を開始。パリ市全体で2年に1度、開催される版画の展覧会に出展。近年は、上海美術館での個展(2007年)やアートフェア「ART shanghai 2008」(2008年)への参加、ニューヨークでの展覧会(予定)など、海外での活動がメーンとなっている。
同アトリエは2階建て、延べ床面積は117平方メートル。元は玩具店だった建物を改装した。1階をギャラリー、2階を工房として使用する。「私のアトリエ兼プライベートギャラリーの利用を想定していたが、思いのほか広い空間ができあがったので、ご近所へのお披露目を兼ねてギャラリーを開放することにした」と隠地さん。
藤の台団地は、旧住宅都市整備公団が建設した総戸数3,435戸の大規模団地で1970年に入居開始。現在は、少子高齢化の影響で団地内の人口が減少し、ひとり暮らしの高齢者も多くなっている。また、町田駅周辺の発展の影響もあり、団地内のショッピングセンターには空き店舗が目立つようになっている。「ここで商売をするのは難しいと思う。家賃が比較的安いので、アーティストの共同アトリエ利用やこだわりの飲食店など遠方からもお客を呼ぶことができるアイデアや支援が必要」(隠地さん)。
オープン記念展では、隠地さんの作品10点(ペイント8点、エッチング2点)を展示。オープン後は、団地の中高年の女性を中心に散歩や買い物の途中に立ち寄る風景が見られる。「団地には大きな広場やショッピングセンターの中庭など有効利用できそうな空間がたくさんある。わざわざ銀座に行かなくても、芸術に触れることができる機会をつくり、団地に『楽しみ、にぎわい』をもたらしたい。今後は、若い芸術家が海外に出て行くための支援を行う。月1回程度、作品の講評会を行う予定」と意気込みをみせる。
オープニング記念展の開催時間は12時~17時30分。8日まで。
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