
町田のカジュアル衣料品店「HEIWA-DO(平和堂)」(町田市原町田6)がまもなく66年の歴史に幕を閉じる。店主の椎橋良裕さんは「大学を卒業してすぐに父の店を継いでから50年、本当にあっという間だった」と振り返る。
平和堂は1959(昭和34)年ごろ、横浜線原町田駅と小田急線新原町田駅をつなぐ通称「駆け足通り」沿いに開業。スカジャンやビジュアル系、パンクロック、ゴシック系ファッションといった品揃えが特徴。ステージ用ジャケットも取り揃えて町田のミュージシャンをファッション面から支えた。椎橋さん自身、とくに音楽好きではなかったというが、「ちょうどバンドブームの時代に乗った」という。
近年は、ロック系に加え、コミック系、和柄系の3つの品揃え。2021年に最後の町田店を閉じたジーンズショップ「マルカワ」とともに、ファストファッションがなかったころ、安価なカジュアルファッションを若者に売った。
「うちのような小さな個人商店は、量販店と価格競争をしても難しいので、なるべく他店にないような商品を集めようという気持ちでやっていた。こういう店があってもいいと」(椎橋さん)
閉店の理由について椎橋さんは「体力の限界や後継者がいないこともあり、潮時かなと感じた」と明かす。
当初は閉店日を9月30日に設定したが、閉店を聞きつけた客が次々と来店し、商品は残り少なくなったため、「商品がなくなり次第、閉店」に変更した。「なんだかんだ9月ぐらいまでは片付けがあるから、開けておく予定」
「閉店をさびしがって訪ねてくれるお客様もいて、本当に嬉しい。この店がみなさまの思い出の一部として記憶に残ってくれたなら本望。これからは少しゆっくりさせてもらおうと思う」と話す。
営業時間は10時30分~20時。水曜定休。