麻布大学(相模原市中央区淵野辺)獣医学部棟1階のエレベーターホールで現在、動物の内臓などの鋳型標本を展示する「プラスティネーション展」が開催されている。
プラスティネーションは人間や動物の内臓、血管などを合成樹脂に置き換えて保存可能にする技術。同大学名誉教授の二宮博義さんは、血管や器官などに液状の合成樹脂を注入し、樹脂が硬化してから薬品で組織を溶かし血管鋳型を得る「血管樹脂鋳型法」を用いて1970年から製作を始めた。この技術はレオナルド・ダビンチに端を発しているという。
「きれいで見事な鋳型標本を数多く展示することで、多くの人の興味を引くと思う。一般には解剖標本は不快感や嫌悪感を伴うものだが、鋳型標本であれば、そのようなことがなく、自分や動物の体の構造を知ることができる」と二宮さん、
同展では、ブタやウマの気管支、オキゴンドウの心臓、マントヒヒの肺など27点を展示。展示用に作成した標本のほとんどは、動物園や水族館で死亡した動物から作成している。
同大学の動物学研究の成果を社会に発信するために同展を企画した高槻成紀教授は「動物の循環機能を反映した血管系は理屈なしに美しく見とれてしまうほど。標本の『出来栄え』があまりに精巧であるため、微細構造の研究が本物ではなく標本を使って行われていることにも驚いた」と話す。
入場無料。4月28日まで。