文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。 入りやすそうだけど、鍵がかかっていてトビラが開かない。 なぜ、こんな場所が誕生したか? 「まちの不動産屋さん」が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業42年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
強い衝動に駆られている様子がひしひしと伝わってきます。
彼女はいったいどうしたというのでしょうか?
年末も押し迫った2015年12月27日。わたしたちが管理する1,600室の賃貸物件に入居しているみなさんのための特別な食堂として、トーコーキッチンは淵野辺駅北口にある商店街の一角でひっそりと産声をあげました。
トーコーキッチンはあくまでも入居者サービスの一環として自社運営する食堂です。そのため、もちろん入居者のみなさんには開店のお知らせをしていましたが、いわゆる一般的な広告宣伝はしませんでした。さらに、お店の外から一見してどんな店なのかがわかる看板の類も特に設置していません。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2016年5月23日。トーコーキッチンが開店してから5ヶ月が経った時点でも、彼女はいつも前を通るトーコーキッチンが何たるかが一向にわからず、知りたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。
「トーコーキッチンは、東郊住宅社が管理する賃貸物件に住んでいる人に安くておいしくて健康的な食事を提供する食堂です。朝食100円、昼・夕食500円。入居者と同行すれば入居者以外の人もご利用いただけるので、ともだちとぜひ一緒に来てみてね!」
「ご丁寧にコメントありがとうございます!今度お伺いします(^^)」と答えてくれた彼女は、翌日には大学の友人の中に何人もの入居者を見つけ出し、以後、その友人らと共にトーコーキッチンの大切な常連さんとなってくれたのでした。
しかし、トーコーキッチンを利用するために、どうして彼女はわざわざ入居者と同行する必要があったのでしょうか? 入居者のフリをすれば良かっただけではないでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、そこにトーコーキッチンが「入居者向け食堂」といわれる本当の理由があるのです。
でも、それはまた別のお話。