文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。 入りやすそうだけど、鍵がかかっていてトビラが開かない。 なぜ、こんな場所が誕生したか? 「まちの不動産屋さん」が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業42年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
えらく興奮している様子がひしひしと伝わってきます。
彼女はいったいどうしたというのでしょうか?
前回お話しした通り、わたしたち東郊住宅社が管理する1,600室の賃貸物件に入居しているみなさんのための特別な食堂として、トーコーキッチンの運営を開始しました。
トーコーキッチンはあくまでも入居者サービスの一環として自社運営する食堂です。そのため、入居者のみなさんにいつでも便利で気軽に使っていただけるよう、店内環境を整える必要があります。そこで、1,600室に入居しているみなさんが自室に入るために使っているカードキーでのみ開くドアを食堂入口に設置し、「入居者向け」仕様にしました。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2016年4月10日。学生寮に住んでいた彼女は、東郊住宅社が管理する賃貸物件に住んでいる友人に連れられて初来店。自身のトーコーキッチン体験を伝えたい願望がついに極限まで達し、そして、寮友に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。
「紹介ありがとう! そうなんです。トーコーキッチンはドアに鍵がかかっているので、入居者のみなさんが持っているカードキーを使わないと、店内には入れないんです。入居者になるといつでも自由に利用できるので、一人暮らしするときは気軽に相談しに来てね! ……ちなみに、朝ごはんは200円じゃなくて『100円』だよ!!!(笑)」
すっかりトーコーキッチンのファンになってくれた彼女。常連さんになってくれてからも、事あるごとにトーコーキッチンを寮友たちに薦めてくれたおかげで、以後、退寮にともなうお部屋探しでたくさんの大学生が東郊住宅社を訪れてくれたのでした。
ところで、いわゆる普通の「まちの不動産屋さん」であるわたしたちが、どうして食堂を運営することになったのでしょうか? 不動産屋さんも食事を提供しないと成り立たないご時世なのでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、そこにトーコーキッチンに秘めたわたしたちの思いがあるのです。
でも、それはまた別のお話。