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ここにはたしか!
♯034 喫茶店「らんぷ」、ぽっぽ町田、町田ロマン会館

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町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。

♯034 喫茶店「らんぷ」、ぽっぽ町田、町田ロマン会館

こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、町田市在住。そして今回もY.M.O.でして、1983年の春、グループ最大のヒット曲「君に、胸キュン。」を世に送り出しました。カネボウ化粧品とのCMタイアップ曲。メンバーの坂本教授は2年前(1982年)の春には資生堂とのCMタイアップ「い・け・な・いルージュマジック」でも忌野清志郎とのコラボではじけていましたが、Y.M.O.の3人が「かわいいおじさん」をコンセプトに歌番組に出まくって歌謡テクノを...なんだか、いい時代でした。あっ、でも「おじさん」と言っても最年長の細野さんがいまの嵐や関ジャニと同じくらいの年齢、坂本さんと高橋さんはそれより5歳若くて、それでも「おじさん」と名乗って世間も違和感を抱かなかったのでした。細野さんと1歳違いの西川きよし師匠(当時37歳)が、すでに関西お笑い界のベテラン扱いされていたし(日本、ほんとに高齢化社会になったなぁ)。ちなみに同曲を収録したアルバム「浮気なぼくら」のジャケットはアメリカのギターバンド・フィーリーズの「CRAZY RHYTHMS」にインスパイアされた、とか。フィーリーズの演奏は「羊たちの沈黙 」で有名なジョナサン・デミ監督の「サムシング・ワイルド」という映画で観られます。

さて、3回ほどマイブームで団地巡りをしていましたが、ひさびさに原町田。ぽっぽ町田の裏手にあるこの通りは、むかしより整備されてすっきり広くなったはず。いまは駐車場を利用したり、原町田大通りへ抜けるクルマでけっこう交通量が多い感じがしますが、私が10~20代の頃はもうちょっと商業地と住宅街が入り交じっていて(いまの町田駅北口を出て、栄通りと町田駅前通りに挟まれたあたりを歩いているような雰囲気だったような記憶が)...その時代のランドマークで今回の写真撮影場所を説明すると、「吉川百貨店から町田ロマン会館にいく途中」とかになるのかな。

ぽっぽ町田ができたのは2001年。この場所にはかつて、1951年にできた町田生まれのデパート・吉川百貨店がありました。古い商店街のチラシがネットにあったので見たら、その隣には「松山」との文字が。これはいまもぽっぽ町田の近くにある洋服店の「マツヤマ」でしょう。つまりこのへんは小田急や大丸や東急が進出してくる以前(1970年代後半)の町田の、オシャレ震源地。...残念ながら私が色気づいて自分で洋服を買うようになったのは1970代後半なので、吉川百貨店は知ってても「ちょっと古い店だなぁ」くらいにしか覚えていないんだけど、しかし、この近くにけっこう好きだった喫茶店があったんですよ。「らんぷ」という名前で、その正確な場所を思い出そうと押し入れからむかし集めたマッチを引っ張り出してみたら、なんと、表記は《町田吉川百貨店裏》としか。どこだったんだ? 感じとしては、いまのぽっぽ町田第2駐車場あたりなんだけれど。客が自由に書き込めるノートが置いてあって、いつだったか高校生の私が「昨日ビートルズのホワイトアルバムを聴いたらけっこう良かった」みたいなことを書いて、次にいったらパンク鴨下という人から「なにがいまごろビートルズだ! ドクター・フィールグッドの『不正療法』を聞け」と一刀両断されていて...すいませんでした。鴨下さん、いまでもパンクな人生を送っていること、祈念します。

そして町田ロマン会館は、いま、帽子の女社長のホテルが建ってるあたりにあったと記憶しています。意外と長持ちして、21世紀になっても建物はしばらく残っていたような記憶が。...はっきり言いまして、私が大学生になる頃にはもう、かなりボロボロにやばい感じの映画館でした。前述の古いチラシには「町田日活」と表記されているので、テレビが全盛期を迎えるまえの、石原裕次郎、小林旭、浅丘ルリ子、吉永小百合などが映画スターだった時代にできたのだと思います。ここで映画を観たのは1回だけで...美保純主演の「ピンクのカーテン」と原悦子主演の「おさな妻」の2本立てだったはず。観ている最中、いま大きめの地震でも起きたらオレはここで建物ごと潰れて終わるのかと怯えていたことを告白します。

でも最近、この一帯の裏道にはいい感じの飲食店や雑貨屋さんができていて、散歩したり、人と会って一杯やるのが楽しいところ。表通りの再開発とうまい具合に共存していけばいいな、と思っています。

【プロフィール】
多田洋一(ただ・よういち)
フリーランスのライター&編集者。雑誌での取材や映画/テレビドラマのノベライズ等。2010年より年1回、個人主宰の文芸創作誌「ウィッチンケア」を発行。第10号は2019年4月1日に発行!
http://witchenkare.blogspot.com/
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