文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業43年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
相当お口に合った様子がひしひしと伝わってきます。
彼はいったいどうしたというのでしょうか?
まちの小さな不動産屋である当社、東郊住宅社が淵野辺エリアで管理する1,600室の賃貸物件にお住まいのみなさんに、利便性と健康的な食生活を毎日提供するために誕生した入居者向け食堂「トーコーキッチン」。朝の定食は100円、昼・夜の定食は500円です。
100円朝食は日替わり定食1種類のみの提供です。卵・肉・魚などタンパク質の摂れるおかずに、野菜を使った副菜2品、ごはん(白米もしくは雑穀米)と豚汁が基本セットです。
昼・夜の500円定食は、肉料理を中心とした日替わり定食1種類に加え、魚料理や丼物、エスニック料理などから週替わり定食2種類を提供しています。500円定食は、食べ応えのある主菜1品に、副菜2品、ごはん(白米もしくは雑穀米)と豚汁の構成となっています。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2019年7月20日。7月に入って東京都心で初めて真夏日となった翌日のことです。前日の暑さがちょうどいいスパイスとなったのでしょうか? 灼熱の大地を彷彿する名の料理を初めて口にした彼。その衝撃の旨さを伝えたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼にこう返信しました。
「べらぼうに素敵な食レポをありがとう。不動産屋冥利に尽きます!」
500円定食のメニューは和洋中をはじめとした約100種類あるレシピの中から、毎日食べても飽きないように、毎食食べても飽きないように、アレルギーがあっても好き嫌いがあっても食べに来られるように、そして、何より毎日食べに来たいと思ってもらえるように、様々な工夫を凝らしてメニューの組み合わせを選んでいます。
しかし、ありきたりな定食ばかりでは、せっかく不動産屋が運営する食堂としては面白味が足りません。そこで、等身大の東郊住宅社を感じてもらえるようなメニューも忍ばせています。例えば、彼が「べらぼうに旨い」と言ってくれたアフリカンチキンは、ボクが学生時代にコックとしてアルバイトをしていたアフリカ料理レストランの大人気メニューでした。
ある日、友人に連れられて初めて訪れたそのレストランで食べたアフリカンチキン。その未体験なおいしさに、彼同様、ボクもいたく感動し、その場でガーナ人オーナーにアルバイト志願したところ、なんとその翌日から厨房で働かせてもらえることになったという、あまりにもハチャメチャな、でも生涯忘れることのない大切な思い出が詰まった料理なのです。
ところで、トーコーキッチンにはいつでも食べられる定番メニューはないのでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、そこにトーコーキッチンを通じて伝える更なる「等身大の東郊住宅社」があるのです。
でも、それはまた別のお話。