文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業44年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
トーコーキッチンは、まちの小さな不動産屋である当社、東郊住宅社が淵野辺エリアで管理する1,600室の賃貸物件にお住まいのみなさんに利便性と健康的な食生活を毎日提供するために誕生した、入居者向けのちょっと変わった食堂です。
朝の日替わり定食は100円、昼・夜の日替わり&週替わり定食は500円、サイドメニューは50円、ドリンクは100円と、いずれもわかりやすいワンコインの設定となっています。
でも実は、0円メニューもあるんです。
■物件オーナーが育てた旬の野菜で作った料理 0円
当社が管理する1,600室の賃貸物件のオーナーのみなさんの中には、畑や山などを持っている方もいらっしゃいます。そのため、旬の野菜や果物がたくさん収穫できたときなどには、ありがたいことに当社にもたくさんのおすそ分けを持ってきてくださいます。
今までは、それを当社スタッフみんなでありがたく頂戴していたのですが、トーコーキッチン誕生以後は変わりました。それらすべてをトーコーキッチンへ持って行き、丁寧に調理し、旬の味覚がたのしめる無料サービスの一品として、入居者のみなさんと一緒にありがたく、おいしく、たのしくおすそ分けすることにしたのです。
そして、それを「○○マンションのオーナーさんの畑で採れた新じゃがのポテトチップスだよ」「○○アパートのオーナーさんの山で採れたタケノコの土佐煮だよ」などと一言添えて提供し、「うれしいねー!」「おいしいねー!」「たのしいねー!」とみんなで感謝しながら頂戴しています。
旬の幸の味わいを堪能する機会をみんなと共有できること自体で十分うれしいのですが、今まで契約書という紙の上でしか認知していなかった「物件オーナー」の存在を、おすそ分けをきっかけに認識してもらえる機会になったらうれしいなと思っています。
■住まいや暮らしの要望受付 0円
ボクは日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋であり、「おいしい」と言ってもらうことが何よりうれしい不動産屋です。
毎日2~3度ほどトーコーキッチンに顔を出すのですが、その際にもついつい料理をおいしく食べてくれているかどうかばかりに気がいってしまいます。しかし、そこはさりとて不動産屋。「部屋、問題ない?」「なんか困ってることない」とも聞きます。
ひとたび契約が済んで日常生活が始まると、疎遠になりがちなのが入居者と不動産屋の関係ではないでしょうか。さらには、住まいや暮らしで困ったことがあっても、不動産屋にはどうも相談にしくいというのが一般的なイメージではないでしょうか。
しかし、当社、東郊住宅社は「契約してからが、本当のお付き合いの始まり」と考えます。当社がご縁を賜った管理物件入居者みなさんには、これからも安心・安全・快適な暮らしを送り続けていただきたい、少しでも長いお付き合いをさせていただきたいと思っています。
そこで、トーコーキッチンにごはんを食べに来たついでにでも、住まいや暮らしでちょっと気になっていることや困っていることなどを気軽に教えてもらえたらうれしいなと思い、このメニューを設けています。