文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業45年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
トーコーキッチン、いや、相模原LOVEな様子がひしひしと伝わってきます。
彼はいったいどうしたというのでしょうか?
さかのぼること約30年。学生時代のボクは言葉も文化も違う異国の地で、当てもなく、気の向くままに一人でプラプラするのが好きでした。訪れた先々には、今もなお鮮やかによみがえる大切な思い出があります。
あるとき、その中でも「もう一度あそこに行きたいな~!」と思いを馳せる土地の共通点を考えてみたら、そこには「人」と「食」にまつわる思い出があることに気が付きました。
以前にも記しましたが、淵野辺は「うん、ここ住みたい!」と思って積極的に選ばれるというよりは、むしろ学校や職場に近いことを理由に「う~ん、ここに住むか」と消極的に選ばれがちです。しかし、きっかけはどうであれ、せっかく淵野辺に住むのですから、少しでもここでの暮らしをより楽しんでもらえたら……。まちの不動産屋としては、そう思うのです。
まちの不動産屋であるわたしたちの仕事は、住まいの場を提供したら終わりではなく、そこからが本当の始まりです。そして、それゆえに、そこに住まう人の暮らしがより楽しいものとなるよう携わることができる稀有な仕事でもあるのです。
そう思い、「人」と「食」にまつわる思いをトーコーキッチンに秘めてみました。
いつの日か「淵野辺に住んでよかった」「昔、淵野辺に住んでいたとき、不動産屋がやってるヘンテコな食堂があってさ~。でも、あそこのアレ、おいしかったんだよな~」なんて、愛着を持って淵野辺生活を振り返ってもらえることができたら、まちの不動産屋としてこの上ない幸せだなと思っています。
そこで、先ほどのつぶやきです。
今からちょうど半年前となる2021年6月2日。当コラムの第35話が更新された日のことです。SNS上で更新情報を知った彼は、自身が送る相模原での生活とトーコーキッチンの関係性を伝えたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼にこう返信しました。
「ありがとう。不動産屋冥利に尽きます!」
みなさんにとって、今そこに住んでよかったと思える理由は何ですか?
ところで、トーコーキッチンはどんなタイミングでみなさんに初めて知ってもらえるのでしょうか? やっぱり淵野辺で部屋探しを開始するようになってからでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、そこにわたしたちが予期しなかった口コミ経路があったのです。
でも、それはまた別のお話。