文教地区・淵野辺にあるちょっと変わった食堂。入りやすそうでいて、鍵がかかっていてトビラが開かない。なぜ、こんな場所が誕生したか?「まちの不動産屋さん」2代目が、ここを舞台に巻き起こる人間模様を語る連載コラム。
淵野辺で創業47年となる不動産屋の二代目、池田峰です。日本で一番「味どう?」と聞いている不動産屋です。当社、東郊住宅社が運営する入居者向け食堂「トーコーキッチン」にまつわるエトセトラをお話しさせていただきます。
ある日、こんなつぶやきを見つけました。
トーコーキッチンを有効活用してくれている様子がひしひしと伝わってきます。
彼女はいったいどうしたというのでしょうか?
わたしたち東郊住宅社が淵野辺周辺で管理する1,800室の賃貸物件入居者のみなさんに利便性と健康的な食生活を提供するための食堂として誕生したのがトーコーキッチンです。朝の定食を100円、昼・夜の定食を500円で提供しています。
その利用方法は至って簡単。毎日SNSで更新するメニューを見て、食べたかったらご来店いただくシステムです。予約は不要。事前払いも不要。いつでも食べたいときに、食べた分の代金をその都度お支払いいただきます。
そこで、先ほどのつぶやきです。
2016年5月27日。トーコーキッチンの運営開始からちょうど半年が経ち、人気メニューが定着し始めたころのことです。その日の日替わり定食が一番人気の「ふわとろオムライス」だと知った彼女。自炊の面倒さと空腹感とオムライスを食べたい願望がついに極限まで達し、そして、世の中に向けてつぶやいたのです。
それを見つけたボクは、すぐさま彼女にこう返信しました。
「なんやかんやあってからの、トーコーキッチン。最高にうれしい活用スタイルです!」
そう、もちろん最初からトーコーキッチンをがっつり予定してのご利用もうれしいのですが、作る時間がない・何を食べたいかわからない・買い物に行けない・疲れた・面倒くさい……などなど、みなさん各々のなんやかんやの理由で流れ着いたトーコーキッチンご利用というのが相当うれしいのです。なぜなら、わたしたちはこのトーコーキッチンで「健康的な食生活」だけでなく、その「利便性」も入居者のみなさんにご提供したかったからです。
毎日食事を作り続けるのは、とてもとても大変です。そんなとき……
何だかしらないけど管理会社が勝手に作った入居者向けの食堂が淵野辺駅近くにあって、そこではうま味調味料やレトルト、冷凍食品を使わない手づくり料理が出されるらしくって、しかも朝食100円・昼夕食500円というリーズナブルな価格で食事が摂れるとなったら、そりゃ、そんなの作った不動産屋が悪いに決まっている。利用しない手はないでしょ!
……といった具合に、なんやかんやの理由を経てからも、無駄な罪悪感なく、好きなときにいつでもご利用いただけるとうれしいなと思っています。それは、学生だけでなく、社会人・家族・高齢者・ひとり親世帯・共働き世帯、どんな生活スタイルの入居者であってもです。
ところで、トーコーキッチンが毎日SNSで投稿しているメニュー写真を見ているのは、実際の利用者である入居者のみなさんだけなのでしょうか?
答えは「ノー」です。
実は、そこにトーコーキッチンの在り方を最も喜んでくれる人の存在があったのです。
でも、それはまた別のお話。