有機栽培に取り組む日本の農家は0.4%と、ヨーロッパ(40%以上)に較べて圧倒的に少ない。町田市小山町で、遊休農地を活用した無農薬野菜の栽培に取り組む「おおるりファーム」の青木瑠璃さんが、日々の奮闘と収穫の喜びを伝える連載コラム。
みんなが大好きな夏野菜の種を蒔く時期はいつだと思いますか?
ピーマン、シシトウの仲間は2月。トマト、ナス、カボチャは3月です。
江戸時代には、米ぬかと堆肥、水を混ぜて踏み込んで、紙で蓋をして発酵した熱で上記野菜の育苗をしていました。なぜなら上記野菜は熱帯性で本来の日本の気候では栽培がとても遅くなってしまうからです。江戸時代の初物はとても高く売れましたので、競って早く苗が出来るようにと工夫されたのです。
現代では、育苗はビニールハウスで行われています。2月はまだ寒いので、暖房等の加温をして5月までに適切な苗のサイズが、育苗農家より生産されています。おおるりファームでは、暖房などの施設がありませんので、ピーマンの仲間は通常に出回る時期より毎年遅れてしまいます。
小規模農家ではこれら夏野菜の苗を作るのは大変なので、JAなどから買ってくる方が大半です。私は小規模農家ですが、毎年野菜は苗から作っています。これは労力もかかり、一見無駄なように思われるかもしれません。苗を作っている理由の一つ目は、自家採種から優良な苗を育てたいからです。有機栽培の場合には特にF1という育てやすいと言われる品種が畑に合わない場合があります。一般にF1品種は早く育て、一斉に出荷するのに向いている品種だからです。これには化成肥料がないと難しい場合があります。それからやっぱり、種から作ると安いんです。
町田で少しだけ農地を貸していただけた頃、世田谷のマンションで衣装ケースの中でトマトやナス、ピーマンの苗を作っていました。昼はベランダに出して、夜は室内にしまって、、、大変といえば大変ですが、とっても楽しかったのを覚えています。とても良い苗が出来ましたので、少しだけ苗を作りたい方にはオススメです。
今は借地に立てた小さなビニールハウスにて育苗しています。市販されていない品種を育てるのがすっかり楽しくなってしまいまして、今年育てている品種は、
トマト(オレンジ、バイオレット、バイオレット小、マティナ、世界一)
ピーマン(万願寺、ひもとうがらし、南蛮とうがらし、ハラペーニョ)
ナス(トルコナス、台湾ナス、博多大長、イタリアナス)
カボチャ(赤皮栗、緑皮栗、バターナッツ)
そのほかにも、生姜、里芋、山芋、オクラ、枝豆、ササゲ、モロヘイヤ・・・
種まきは順調でしたが毎年植え替えが間に合いません!ハウスの中でジャングルのようになってきてしまいました。2人しかいないため、毎年春は作業が追いつきません、今のところの課題です。今週中には何とかなる予定です、手伝いたいという奇特な方がいらっしゃいましたらご連絡ください。、
左上から時計回り カボチャ、トマト、ナス、ひもとうがらし、サツマイモの苗
前回のコラム→#011 農業は儲からない