特集

ここにはたしか!
♯010 カラビンカ、ノイズ、L.A.

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町田在住のライター&編集者の多田洋一さんが、「町田のちょっと懐かしい」を訪れ、今はなき店や出来事に思いをはせる、ゆるノスタルジー系連載。

♯010 カラビンカ、ノイズ、L.A.

こんにちは、多田洋一です。本に関わる仕事をしていて、町田市在住。ユーミンのアルバム「14番目の月」は、リアルタイムで聞いて「おやっ?」と感じたんですよね、とくに歌詞。理屈っぽくなったというか、オトナになったというか...「何もなかったように」なんて、若き日を強引に封じ込めてるみたいでぐっときました。でっ、翌々年(1978年)に出た「紅雀」では、苗字が変わってた!!

さて、ユーミンが松任谷さんになった頃、私は原町田の「カラビンカ」という前衛ジャズ(!?)喫茶によくいきました。ジョルナからセピアカフェに抜ける途中の雑居ビル3階にあって、会話厳禁のお店(デレク・ベイリーというギタリストの名前にピンときた方は、ネット検索してみるといろいろなことがわかります)。オトナになりたかったんだなぁ...高校生の自分。でも大音量でかかる音楽が難しすぎて、他の町のジャズ喫茶にも遠征するようになって、それで下北沢で発見したのが、ノイズという喫茶店でした。

煉瓦のビルの階段を昇ると、左側が大きなガラスで店内が見える。入った右側が厨房とトイレ(これが和式だった記憶が...)。客席は左側に伸びていて、階段側はカウンター、右側は2~4人掛けのテーブル席。一番奥の通り沿い(窓あり)には切株の大きなテーブルがあって、グループでも座れる。おしゃべりOKで、かかっているのは「カラビンカ」より軽めのクロスオーバー。メニューは、初期はコーヒーもコーラも300円均一で食べ物はトーストがあったかなかったか、くらい。のちにお酒や料理も増えたけど、ユーミンがOLの教祖みたいになった80年代なかばにはなっくなってしまい...ええと、そのお店がビルの前の道路に出していた看板。それと同じものが、いまもジョルナのノイズの入口に置いてあって、私には感慨深いです。店長さんに伺ったら、「下北沢の店の写真は1枚も残ってないんです」とのこと。なので、記憶を辿ってみました。

ジョルナの地下にあったL.A.という輸入レコード店でも、よく散財しました。ユーミンつながりで思い出すのは、Grace Slickのソロアルバムが安売りコーナーにたくさんあったこと(「グレイス・スリックの肖像」という超悲しい曲が「昨晩お会いしましょう」に入ってます)。グレイスさんはのちに「シスコはロックシティ」というポップな曲で復活したんですが...、って、あれまぁ今回はすっかりユーミン話。

【プロフィール】
多田洋一(ただ・よういち)
フリーランスのライター&編集者。雑誌での取材や映画/テレビドラマのノベライズ等。2010年より年1回、個人主宰の文芸創作誌「ウィッチンケア」を発行。
http://witchenkare.blogspot.com/
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