買い物弱者のお年寄りに新鮮な野菜を届けようと昨年12月より、町田市在住の早川侑さん(28歳)が団地を中心とした野菜の移動販売に取り組んでいる。
早川さんは自動車ディーラーの元営業マン。地域に役立つ仕事がしたいと個人事業主になった。「自分の持っている資金力でできることは何かを考えた。食品の宅配だけだど、高齢者は外に出る機会が少なくなる。そこで野菜の移動販売を選んだ」と早川さん。
東京都中央卸売市場の紹介で仲卸業者から野菜を仕入れ、藤の台団地や金森アパートなどで週3回販売する。当初、町田産の野菜を紹介しようと都内でも販売していたが、名産地の野菜には味と価格でかなわないことに気付き、全国の野菜を市内で売ることに特化したという。
事業を始めて3カ月、固定客も少しずつ増え、生活費を稼ぎ出すには至らないが仕入れが赤字にはならない程度になった。野菜に関するコラムなどを書いたチラシをポスティングして集客する。3回目の買い物だという70歳代の女性は「徒歩圏にスーパーはあるが、重い野菜を近くで買えるのは便利。若い人に頑張ってもらいたい」と笑顔を見せる。
「目が不自由な人、数十メートル歩くのも困難な人など、近くのスーパーにも行けない人がいる。ニーズを感じている。有機野菜は価格が高くなってしまうので取り扱わないが、『あまおう』など多少値段が高い果物や野菜であっても良いものであれば売れる」(早川さん)。
今後の展開について、「町田市の農業研修を受けている。農地あっせん事業を利用して2年後には自分で作った野菜も売りたい。それまでに販売力の強化、野菜を使った料理イベントなどで発信力を高めていければ」と話す。