町田市内の中小企業者と市役所が共同で開発したバッテリー内蔵LED街路灯「消えないまちだ君」の整備促進事業が「第7回協働まちづくり表彰」でグランプリを獲得した。
「消えないまちだ君」は、東日本大震災の停電で一時滞在施設などへの夜間誘導に支障が生じた教訓を生かし、「電気の供給が止まっても点灯し続ける街路灯を」と、町田市役所、環境事業などを手掛けるイズミ(町田市小山ヶ丘2)、まちだテクノパークの技術者集団「マチダ・ラボ」(同)の3者が共同で2013年に開発。官民の連名で特許を取得している。ネーミングは「消えない街だ」という意味で、市長が名付けた。
既設の街路灯柱内にバッテリーユニットを設置するだけという工事の簡便さ、類似製品の半分程度の価格(約40万円)、8~24時間程度の点灯時間、景観と安全への配慮が特徴。気仙沼市や大槌町に寄贈したほか、市内には市役所前や駅周辺など155カ所に設置。町田市地域防災計画に基づく幹線道路を中心に設置箇所を増やす予定。全国の自治体やショッピングモールを運営する民間企業からも問い合わせがあるという。2020年以降の水銀灯の利用禁止も機器の普及に追い風となる。
発案した同市道路管理課の河合前担当課長は民間企業で電源開発に関わっていたエンジニア。震災時、「街路灯が消えている」という市民の電話で思いついたという。「全国的に展開して安全・安心のまちづくりを推進するとともに、東京オリンピックに向けて外国人にも『安心な街』というPRに役立てることができれば」と期待する。
協働まちづくり表彰は、一般社団法人日本経営協会が主催する「自治体総合フェア2015」の特別企画。行政と住民・NPO・自治会・企業などが協力して展開したプロジェクトなどを表彰している。