町田市は4月1日より、陸上競技場の環境整備、スポーツ教室開催、浮世絵の購入にかかる費用の一部を寄付金でまかなう「ふるさと納税」をスタートする。
ふるさと納税の使い道をあらかじめ明示することで、その使い道に賛同した人の思いを事業に反映させる。寄付を募集する3事業は、町田市立陸上競技場への大型映像装置の設置、アスリートによる子どもスポーツ教室、町田市立国際版画美術館が所蔵していない喜多川歌麿の作品購入。寄付者にはオリジナル返礼品を贈呈する。
市内のスポーツ競技団体と経済団体は、大型映像装置の設置を後押しする。Jリーグ公式戦の会場だけでなく、東京オリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップ日本大会のキャンプ地としての活用などを想定し、市民が「観る」「応援」することを身近に楽しめる環境整備を盛り上げていく考え。
市は、早ければ2018年春に大型映像装置を完成させる。工事費は5~6億円で、2,000万円を寄付でまかなう目論見。現在の大型映像装置は築30年を超え、老朽化が進むとともに単色電球で表示する電光掲示は機能面でも陳腐化している。
昨シーズンからFC町田ゼルビアのホームゲームで電光掲示板のデータを作成しているデザイナーの水谷慎吾さんは「電卓なみの表現力しかない」と話す。それでも156ピクセル×72ピクセルという低解像度の機能を最大限活用し、チームのロゴや選手のイラストを掲示するなど表現の幅を広げた。
「京都がフルカラー大型ビジョンを整備したため、J2クラブのホームスタジアムで電光掲示板をいまだに使っているのはおそらく町田だけ」と水谷さん。「新しくなれば、動画がメインとなり、表現方法は全く違うものになる」とも。
昨年度の市のふるさと納税は、寄付額が控除額を大きく下回る「赤字」。市外からの寄付金を集めることも重要だ。町田市体育協会の吉原修会長は「町田市の運動施設は多摩エリアで充実している。関係する団体を通じて寄付を呼びかけていきたい」と話す。