昨年5月に開園50周年を迎えた「こどもの国」が開園から現在までのあゆみをまとめた50年史を発行した。同書の中で、「自然以外はなにもない」と言われたこともあるというこどもの国は現在、「自然の遊び場」が評価され、入場者数が増えていることを示している。
こどもの国は1959年の皇太子殿下(現天皇陛下)の結婚の際、全国から集ったお祝い金の使い道について、両陛下が「子どもの施設」を望んだことがきっかけで建設された。場所は、横浜市と町田市にまたがる自然豊かな多摩丘陵。戦争中は陸軍の弾薬製造・貯蔵施設のあった場所で、戦後は米軍に接収され弾薬庫として使われた。
50年史は、「こどもの国が社会の中でどういう存在なのか、みなさんに知っていただきたい」という思いで、三国治園長を中心に「50周年記念事業の締めくくり」としてまとめた。
写真や資料を含めて全416ページ。こどもの国の過去と現在の姿を捉えた写真からはじまり、建設経緯や開園を祝う記念式典、新進気鋭の建築家による施設設計、多彩なイベントや遊具、入場者数の推移などについて紹介。「地下水の活用で、こどもの国の水道料金は年間5万2,000円」といったユニークな話題も織り交ぜる。
こどもの国の入園者数はバブル崩壊後に落ち込んだが、2000年から回復基調にある。同書は、子どもの体力向上を目指す学校や地域の取り組みのなかで入園者が増えているとデータを交えて分析。自然の中での遊びを通して健康で元気な子どもを育てていくという「こどもの国」本来の役割がますます重要になると結んでいる。
発行部数は1200部。非売品で、市立図書館などで閲覧できる。