不登校や虐待、貧困などの問題を抱えた子どもを、地域でサポートする取り組み「あいおい みんなの食堂」が5月27日、生活クラブ相模原センター(相模原市中央区相生3)で始まった。
「6人に1人の子どもが貧困状況」という2014年度の厚生労働省の発表。この状況に一刻も早く対応しようと、地元の主婦ら24人の賛同者が、子どもに食事と居場所を安価で提供する「こども食堂」をヒントに、「みんなの食堂プロジェクト」を立ち上げた。
「中央区は市内でも貧困率が高いエリア。資金がないため場所探しに苦労したが、生活クラブに場所や設備を無償で貸してもらうことができた」と広報担当の佐藤純子さん。賛同者や食料品店から、パンや野菜などの提供を受けつつ、子ども100円・大人300円の会費で運営をまかなう。
8月12日には6回目のみんなの食堂が開かれた。来場者は、母子、若いファミリー、小中学生ら約15人。スタッフらは温かい雰囲気で彼らを迎え入れる。食事までの時間は、教員OB、大学生や高校生のボランティアが子どもたちとカードゲームやコマ回し、宿題などを行う。
この日のメニューは、ドライカレー、サラダ、みそ汁、野菜とソーセージの鉄板焼、スイカ、みかんゼリーなど7品。「出どころが分かる食材を使って、コンビニでは食べられないような野菜たっぷりのメニューを考えている。鉄板焼きやかき氷など自分たちでつくることができるメニューも楽しいので取り入れている」(佐藤さん)。食事中は各テーブルにスタッフが付いて、子どもたちが馴染めるように配慮する。
現在は、立ち上げ当初と方向性が変わり、子どもに限らず、だれでも歓迎する。間口を広くして入りやすくする一方、本当に困っている人へ情報を届けることが当面の課題。民生委員の協力が得られるように、社会福祉協議会を通じて働きかけているという。
近隣の富士見エリアでも「みんなの食堂」がスタートするなど、活動が広がり、地域にも浸透しつつあるという。「食事づくりは主婦の仕事、場所さえあれば特別な技術がなくてもできる。ただ、頑張りすぎて疲れてしまわないように、継続的な活動にしないといけない」と佐藤さん。「以前来てくれた子どもがまた来てくれることが嬉しい。顔が思い浮かぶので続けていこうと思う。頼りにされると嬉しいし、自分に価値があると感じる」とやりがいについて明かす。
「食べに来てもらうことも支援の一つ。参加して一緒に楽しんでほしい」(佐藤さん)。開催日時は第2・4金曜の16時30分~19時。米など食材の提供者も募集中。