オーディオテクニカ(町田市西成瀬2)は2月末、すしメーカー「ASM430」を発売した。
業務用の「しゃり玉」をつくる同製品。従来機より175%スピードアップし、1時間あたり最大4200個を形成する。業界初の「両取りモード」で、機械両側に立つ2人作業が可能になった。
同社のすし製造機第1号は、1984年発売の家庭用すしにぎり器「にぎりっこ」。カートリッジの製造販売で1962年に創業した同社が、「アナログからデジタルに移行する時代」を生き抜くために行った、新規事業の社内公募から生まれたという。
「オーディオ関連以外にも自由なアイデアがあり、そのひとつにすしメーカーがあった。とにかくなんでもやってみようという社風だった」と広報担当の黒沢静香さん。その後、買い替え需要が見込めない家庭用から、将来性がある業務用の製造に参入。業界トップレベルに成長した。
機器は発売当時と比べて、「ふっくらしたにぎりで、食べたときに口の中でホロッとくずれるようなシャリ玉のにぎり加減」「操作や組み立てが簡単で使いやすい」「ランニングコストの低減」などで大きく進化しているという。
同社の製品は現在、海外の回転寿司店、国内大手スーパーなどに導入されている。黒沢さんは「すしメーカーを初めてつくった33年前、今の回転寿司チェーンに見られる『すしブーム』は思いもよらなかったはず」と明かす。